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ライブビデオクリエイター養成講座 入門編

はじめに

本テキストは2020年12月11日(金)に、stiffslackにて開催された "LIVE VIDEO CREATOR 養成講座" 入門編の説明用プロットをまとめたものになります。要はカンペですね。手始めに自分で考えたチラシ、テキストを載せておきます。

stiffslackまわりのライブ映像を何年も撮影し続けてきたニイミくんが、ここまで動画コンテンツが手元に落ちてきたのに、なぜかなかなか始める人がいない「ライブ動画撮影・制作」の面白さを、武者修行のように撮り続けてきた活動の中から見出した独自のノウハウも交えながら、講義形式でレクチャー!
今回は「動画」というコンテンツそのものの面白さや、スマホだけでも始められる動画制作を実機操作、実演を交えてお伝えします。動画は一人でも始められるけど、人数がいればもっと面白いものが作れます。ぜひこの日に集まってくれたみなさんでチームを作って、大好きなバンドやそのカルチャーを世界に向けて発信しましょう!初心者OK!

目次

というわけで、これはアイデアノートでもあるので、当日説明することになる内容を箇条書きにしてみます。

1. 動画の"スゴさ"
2. 動画の"仕組み"
3. 動画のやり方、はじめかた

さあ始めましょう!

1. 動画の"スゴさ"

動画ってすごいんだよね。

おそらくテレビというものが生まれからずっと身近にあった私たちは、生活のなかの必需品として、当たり前のように動画を目にしてきました。
今では再生するためのツールが本当にたくさん増えて、手のひらサイズに映像が落とし込まれています。

空気と同じくらいな存在の「動画」なので、「これを作る」という行為には考え方のスケールで言えばものすごく高いハードルがあると思います。なんとなく。
しかしこの感染症拡大、自粛期間の中、たくさんのクリエイターが「そのハードルの抜け道」を見つけたので、一気に世界中の動画の本数が増えたのも事実。今回はその「抜け道」を、みなさんと共有できたらと思います。

では本題、動画ってスゴイ。

「動画は60秒のもので、WEBページ 3600ページ分の情報量がある」と言われています。
数年前から言われていたことなので、今はまた更に増えているかも。スマホを手に持って何かを検索して、「1分で3600スクロール」して得られる情報が、動画なら目と耳から与えられる、ってことですね。単純にバイト数のたとえ話ですが。

これだけではまだまだスゴさはわからないと思います。

動画は、パラパラ漫画です。

小さいころ、ノートの隅っこに刻んだ棒人間。懐かしいですね。
動画はこれと同じ原理です。
動画は、「写真が音付きで高速スライドショーしている」だけのものです。

この「なめらかさ」で、動画のクオリティはまず変わります。

とてもわかりやすい動画が見つかったので、みてみましょう。

ざっくりとしていますが言いたいことはこういうことです。
※この動画自体は60fpsなので、15・30・45fpsはそれぞれ仮想的な表現になっています。

このfps(フレーム・パー・セコンド)という数字が、大きければ大きいほど、なめらかな映像が撮影できるということになります。

スーパースローの原理

「スロー動画」は皆さんわかりますか?スポーツのハイライトとかで、よくみますよね。
fpsの考え方は、動画では非常に重要です!

さて、ここまでで「動画の1秒の中にあるもの」感じてもらえましたでしょうか。

1秒の中に 30枚、 60枚
そして時には 1秒のなかに240枚の写真が含まれている、、、
ゆえに動画はデータ量が重いのです。
さらに、音も、色も記録する。
だからこそ、写真を10秒見つめたときと、動画を10秒見たときと、与えられる情報量とそのタイプが圧倒的に違う。
面白くないわけがないんです。

写真と動画の関係は
微分と積分に似ている!

また急にワケのわからないことを…と感じるでしょうが、超持論なのであたりまえです。すみません。微分、積分、覚えていますか?

微分は、「ある点に対して、接点と直行する接線の傾き」を求める行為です
積分は、「ある点からある点まで、点が描いた線の軌跡全部(面積)」を求める行為です。

微分は写真に似ています。

写真一枚で、「次何が起こるか」の予測をさせる、瞬間の「事象の傾き」を切り取っていると思います。その先を想像すること、答えが1枚の写真ではわからない面白さがあります。

積分は動画に似ています。

動画はGOODもBADも、「現実にあった事象すべての経緯」を記録するものです。

僕はこのグラフを人生のようにも捉えていて、「その瞬間を押さえ、記録として残しておける写真」と、「人生を圧縮できる動画」は、どちらもすばらしいものだなと思っています。

そして、人生を圧縮できる動画が、手元に落ちてきて、誰でも作れるような時代になったことは、大事件だ!!と思っています。

2. 動画の"仕組み"

前段でも「パラパラ漫画」として少し説明しましたが、いよいよ動画の仕組みをお話します。これを学ぶにはまずカメラのことを覚えなければなりません。

カメラの基本
中にはデジタル一眼カメラを持っている人もいると思いますが、改めて説明させてください。下記がカメラで撮影した画の「写り方」「映り方」を決める要素です。

①シャッタースピード
②f値
③ISO感度
④解像度

一つずつ説明していきます。

①シャッタースピード

言い換えればこれは「目の瞬きの速さ」です。
瞬きって普段意識してないですが、一瞬ですよね。カメラはこのスピードを制御できるのです。

「1秒に何回瞬きする速さ」という形で表現されています。
速ければ速いほど、素早い動きを捉える事ができます。

ex.1)1/50…僕が一番良く使う設定
1秒に50回瞬きする速さ。
言葉で聞くとけっこう速く感じますが、カメラだと普通です。比較的ゆったりと、日常を過ごすスピードで動く人を撮影すると、ほんの少しだけ残像が出ます。

ex.2)1/400
1秒に400回瞬きする!
めっちゃ速い。よく「流れる水」の写り方で比較されます。これくらいのスピードで撮影すると、水滴も細かに写ります。

【動画での考え方】

最初のセクションでお話したとおり、動画におけるfpsは1秒に◯枚の写真がある というものでした。
動画は連続性があるので、シャッタースピードと深い関係性があります。

僕のやり方で恐縮ですが、だいたい1枚の写真に対して2回瞬きできるスピードで考えています。余裕を持っておく感じです。

しかし、気をつけなければいけないポイントがあります。

瞬きが速ければ速いほど、光の量が減るので、暗くなってしまいます。
これをf値とISO感度でコントロールします。

②f値
では光の量をコントロールするために、まずどうするか?
f値を決めます。

f値は、レンズに大きく左右されます!本格的にやりたい人は、良いレンズが必要です。

f値は、どんだけ目を大きく開き、どう見たいかだと思ってください。
近視の人いますか?学校で、黒板に書いてある文字がちょっと見づらいとき、どうしますか?
目を細めますよね。目を細めると、はっきり見える。不思議です。でも目を細くしすぎると、暗くなる。この絶妙な塩梅を生み出すのが、f値です。

簡単にまとめると

・f1.0
目を見開いて、見たいものだけを見る。→明るく、みたいもの以外はボケる
・f16.0
目を細めて、広くいろいろ見る。→暗くなり、全体がはっきり映る

ライブハウスの場合、絶対的に明るい画を撮れるレンズが必要でした。
ホールコンサートなら明るい場面もあるかもしれないですが、小さなライブハウスは大抵暗いからです。
最初に僕が求める条件を満たしたレンズはこれでした。今でっもずっと使っています。壊れていますが。

https://www.yodobashi.com/product/100000001002143039/

レンズ性能はf値もマニュアルでレンズ側からコントロールできるものが最も動画に向いています
・シャッタースピードはfpsとの関係があり、なかなか変えられない。
・次に説明するISOを上げればあげるほど、明るく出来ますが、デジタル処理なので、画像が汚くなる。
ライブ撮影で必要なのはf値を十分に使いこなすこと!

ボケと動画

上で説明したことから、ライブ撮影には明るいレンズが必要でした。なので必然的にボケます。
動画はこれが醍醐味です。みんながストーリーテラーになります。
写真は「今これを撮ってる」っていうのがなによりも大事で、それは一枚で完結します。
動画は撮影者が「今これ見てる、次これ見てる」が表現できる。これこそが強み。
ボケ移動は動画でしか表現できないニュアンスです。

動画はやはり時間的連続性のあるものなので、
・「今歌っている人を撮って、次ドラムを撮って…」いま撮っているものそのものがストーリー
・一つの画の中でも、手前のものを「見せて」次の瞬間は奥のものを「見せて」。これもストーリー

全体を広く撮ってももちろん良いのですが、撮影者が今見ているものを、プレイヤーが鳴らしている音(時間軸)とあわせて、ありありと記録できる。なので動画は、特にライブ動画は!めちゃめちゃ楽しいです。
10人見ていたら、10人の動画がある。
これは企画案ですが、そういうライブ映像があってもマジで面白い。閲覧したいカメラを自由に選べる、とか。

③ISO感度
ISO感度は、シャッタースピード、f値設定して撮影された動画をカメラ内でどれだけ「無理矢理」明るくするか、で、無理矢理上げると、画像が汚くなってしまいます。
ISOは低ければ低いほどよい、が僕の中では正解です。
でも現場の暗さ、表現したい明るさで、ギリギリのラインで撮影します。
逆手に取って、ザラザラ具合も表現する!というパターンもありっちゃありです。

④解像度
写真でも大事な解像度ですが、動画で大事なのは動画のサイズとbpsです。
4Kはたしかにめっちゃきれい。でも超重い。

例えば、4Kの超キレイな映像をYouTubeで出そうとしても、まだまだネット環境はコンテンツに追いついていないので、スマホでの再生に向かないです。

この映像は、
・フルHD(1920×1080px)で撮影
・幅は1920px、高さを800pxに切り取り(これは「雰囲気出し」で、シネマスコープといわれる「映画っぽい」比率にしてます)
スマホでも閲覧しやすいサイズ、大画面にしたら、映画を見ているような没入感のある映像、を意識しています。

次に大事なのはbps。ビット・パー・セコンド。秒速ビット数です。
これを上げれば上げるほど、1秒に詰め込まれる情報数が高まるので、きれいになります。

編集した動画を書き出すとき、
「常時これくらいのビットレートは維持してね」
「最低でもこれくらいのビットレートは出してね」
とざっくり指示して書き出します。
ライブならさらに「音声の音質はこれくらいを維持してね」という指示も出来ます。

「早い動きで情報数がそもそも多い」ものを、低めのビットレートで書き出すと、めちゃくちゃ汚い映像が出来上がってしまうので注意してください。
まあでも、最近のソフトは大体ボタン一つでキレイに書き出せるようになってますのでご安心を!

と、長くなりましたが、このセクションをまとめると

・デジタル一眼で写真を撮るときと、基本的な考え方は同じ
・fps×シャッタースピード、f値・絞りの随時変更、動画独特の考え方がある
・見る人の閲覧環境を考慮して、撮影・編集する必要がある!

こんな感じでしょうか。

3. 動画のやり方、はじめかた

ということで、これらが動画のキホンの「キ」でした。
実際に始めるときはどうしたらいいの?という意見にお答えします。

必要なもの・本格派の方

・カメラ本体(オススメは「ミラーレス一眼」sony αシリーズかPanasonic GHシリーズ)
・明るいレンズ(ライブならf値が低いもの。)
・パソコン
・編集ソフト(Adobe Premiere pro、Final Cut、iMovie

これだけあれば始められるでしょう。
カメラとレンズに15〜20万。
パソコンはそこそこ性能が高ければまだ大丈夫。10〜15万。macがオススメ。
編集ソフトは無料ならiMovieでもOK。少し色々やりたければ、Premiere Pro などサブスクリプション形式のソフトをインストールしましょう。

必要なもの・スマホお手軽派

・スマホ
・撮影アプリ
・編集アプリ

ひとつ映像見てください。
2018年6月、METZのライブ映像です。

これ全部スマホで撮りました!後半ぐちゃぐちゃなので未公開です。笑

まず誰でもできるコツ・ポイントとして被写体の「近くに行く」があります。
そして他の人と差別化するポイントではズームがあります。
日常生活の必需品としてスマホを使っているユーザーは、ズームは知っているけど使えないユーザーが多いです。

ライブ映像は、その人だけが見れる画を記録できるのが特徴だと信じています。「全体が楽しんでいる風景」は別でやってくれ!と思っています。

カメラにしか出来ないズームしかも手軽なスマホ。
これをうまく使って、人の記憶に残るかっこいい画を撮る!ということは、もはや誰にでも出来る時代です。

おすすめアプリがあります。
今日話した機能が、だいたいフルで使えるアプリです。

フル機能を搭載すると¥5000くらいはかかってしまいますが、だいぶ使えます。4K対応。ビットレートが100Mbpsまで設定できます。

カットや場面遷移をつかって、少し凝った映像を編集したいな、という方は、inShot、Premiere Rushなどのアプリをダウンロードしてみてください。

以上で第一回となった「ライブビデオクリエイター養成講座 入門編」は終了したいと思います。

次回があれば、詳しくまた実演を交えて紹介したいと思います!

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