#28 選挙とエネルギー政策~投票先をどう選ぶ?~
こんにちは、GTです。
首相が交代してさっそく衆議院選挙が始まりました。
今回はどの政党、候補者に投票するか、その選び方についてエネルギーの観点で書いていきます。
尚、選挙の争点としてはエネルギー以外にも経済や社会保障、憲法改正など多くありますが、ここでは争点の1つとしてエネルギーに絞っています。
まず、日本における現在のエネルギーの使用状況を見ていきます。
2022年度の確報値では、石炭や天然ガスなどの化石燃料の比率が83.4%と多くを占め、再生可能エネルギーと原子力を含めた非化石燃料は16.6%に留まっています。
発電にフォーカスすると、発電電力量のうち石炭や天然ガスなどの火力発電が72.8%とやはり多くを占めて、非化石燃料由来の発電は27.2%、そのうち原子力が5.5%となっています。
要は8割前後を化石燃料に依存している状況です。
https://www.meti.go.jp/press/2024/04/20240412001/20240412001.html
ここからはエネルギーに関する各政党のマニフェストを見ていきます。
ほとんどの政党は2050年のカーボンニュートラルを目指す方向でおおよそ一致しています。
その中で大きく異なるのは、再生可能エネルギーの目標と原子力発電の是非の2点でしょう。
まず再生可能エネルギーの目標について、上で書いたように現在の再生可能エネルギーの発電量は2~3割程度です。
これがどのくらい伸びていくと予測されるか、2021年に策定された第6次エネルギー基本計画の電源構成を見ると2030年の目標が36~38%となっています。
今年度中に第7次エネルギー基本計画が策定される予定で、そこでの再生可能エネルギーの目標比率がどのように設定されるかはまだわかりません。
ただし、日本は平地面積あたりの太陽光発電の導入量が世界トップレベルで今後設置できる場所が限られていること、風力発電は導入前に環境影響評価などで数年単位を要することから短期的な増加が見込みにくいことから、2030年度に50%はチャレンジングな目標と言えると思います。
高い目標を掲げている政党は単にスローガン的に掲げているのか、筋の通った説明がされているのかは要チェックでしょう。
次に原子力発電について、上で書いたように現在の電源構成に占める比率は5.5%ですが、これを高めていくのかゼロにするのかで大きく分かれています。
原子力発電は経済と大きく結びついているので、経済対策、物価高対策にも関連してきます。2010年までは原子力発電の比率は30%前後でしたが、東日本大震災以降は多くの原子力発電が停止したことで比率が下がり、その穴埋めとして火力発電の比率が高まりました。火力発電の燃料は海外から輸入しているので、貿易赤字の要因となって、また最近のエネルギー価格高騰の煽りで火力発電への依存度が大きい電力会社の電気代が上がっています。
モノをつくったり運んだりするのに必ずエネルギーが必要なので、エネルギーコストの上昇はあらゆる物価の上昇に繋がります。原子力発電への不安と電気代の負担をどのように天秤にかけるかを考える必要があるでしょう。
最後に、原子力発電について私見を書くと、2つの理由から推進派を支持します。
1つ目の理由は経済的な観点です。エネルギーコストの上昇は国の産業競争力を低下させてしまうことになります。同じモノをつくってもエネルギーコストが高ければその分だけ価格も高くなり、輸出する場合にどうしても不利になる、逆に言えばエネルギーコストを下げることで有利になり、それが国の経済回復に繋がると考えるからです。
2つ目の理由は地球温暖化対策の観点です。化石燃料を使って発電することで当然CO2が排出されるので、化石燃料を使わない原子力発電は地球温暖化対策の有効な手段となります。他に考えるべき点として放射性廃棄物の問題はありますが、地球温暖化は2050年までという短期的且つ不可逆で差し迫った問題のため、優先順位としては後者が高いと考えるからです。
原子力発電に限らず、例えば自動車も包丁も便利である一方で使い方によっては人を傷つける道具になります。そういうデメリットを認識しつつ使っているわけなので、原子力発電もデメリットと上手く付き合いつつ有効に活用していくのがいいんじゃないかと思います。
今回の衆議院選挙ではエネルギー政策は争点としては優先度は低いと思いますが、投票先選びと今後の政策をウォッチする参考になればと思います。
ではでは、またお会いしましょう。
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