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球団ヒストリー11.野球と本業の両立

クラブチームのお金にまつわる壁。
それは運営側だけではなく、選手たちにも直接関わってくる問題だった。

プロ野球や企業チームならば、選手は野球をすることが仕事になる。つまりお給料(表現は違うかもしれないが^^;)を受け取りながらプレーすることができる。
でも、限りあるレギュラーの椅子を奪い合う厳しい世界。プレイヤーとして動けなくなったら「戦力外」となる非情さがある。


ホワイトウエーブは企業チームではなく、それぞれが他に本職を持ちつつ野球をしているクラブチーム。
ここでは選手個人が部費を払いながらプレーする。
そう。野球をするためにお金を払うわけだ。

ここが、企業チームとの大きな違い。
選手にとっての何より大きな壁は、本職との両立だったのではないか。

好きな野球を続けるためには部費を納めて球団運営を支えながら、土日の練習にも参加しなければならない。
土曜日はまだいいかもだけれど、日曜日は「明日から仕事」という条件のもと、自らのモチベーションを上げて球場まで足を運ぶ必要があるわけで。

本職は野球とは無関係。
いくら練習で疲れていようと、何食わぬ顔で出勤せねばならない。疲れた顔などしていたら「そんな顔で仕事するなら野球やめちゃいなよ」と言われかねない。

野球に集中するために本業をおろそかにすると生活がままならなくなり部費も滞る。本業が忙しいからと練習をサボると上達しない。
学生時代の部活でも学業と野球の両立に苦心した(人もいるかもしれない)が、そもそも学業も部活も同じ『学校』に属していることだ。
けれども社会人クラブチームとなると、本業と野球、まったく別のところに所属している。本業に野球が影響しても、野球に本業が影響してもマズいというのは…想像すればするほどきつそうだ。

そんな厳しい環境の中、本気で毎週の練習に参加する…いや参加できる選手は多くはなかった。日ごろの自主練習はそれぞれでやっていたものの、チーム練習となると厳しく、ノックもままならない日があった。


企業チームと違い、首を切られることは少ないかもしれない。
でも部費を支払ってまでプレーするなんて、もうよっぽどの野球バカでないと続けられないのではないか。

…少なくとも、私の夫がそれをやりたいと言ったら「部費はお小遣いから?え、まさか家計から?洗濯は誰がするの?」と質問攻めにしてしまうだろう。限りなく「反対」をちらつかせながら。
これは完全に私の想像ですが、選手によってはそうした”家族の壁”も乗り越えてチームに加わっていたのではないかしら。


クラブチームでプレーするには、野球と本業の両立が不可欠。そしてその二つの居場所は完全に別個であって、融通が利かない。
選手たちにとっても、なかなかにハードな壁だった。



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