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20.データで見る2006年の公式戦

2007年。末廣新監督が就任しホワイトウェーブの第二章が始まった。

…というところまでお話したのだが、ここにきて2006年の公式戦スコアブックが手に入った。
そういえば、ホワイトウェーブが発足した2006年の公式戦については、ほんの少しお伝えしたのみ。
せっかくなので、当時のホワイトウェーブのチーム力を、このスコアブックから覗いてみたいと思う。

初陣

初の公式戦は、2006年5月28日。
『第一回九州クラブ野球選手権大会 兼 第31回全日本クラブ野球選手権大会九州地区予選 兼 第一回西日本クラブカップ 九州地区予選』
というやたら長い大会名の理由は置いておいて。

この、要するに『全日本クラブ選手権』の予選大会が、鹿児島ホワイトウェーブが臨んだ初の公式戦だった。

対戦相手は宮崎ゴールデンゴールズ。
ほぼ同期のこのチームは、鹿児島ホワイトウェーブと同じく公式戦初参戦。

お隣宮崎県ということもあり、何度か練習試合をしていた。そして練習試合では負けなし。

國本球団代表曰く、選手たちは「勝って当然」なつもりで、大会が開催される北九州市立大谷球場に向かったらしい。


先攻のホワイトウェーブは初回、先頭打者上村がライト前にヒットを飛ばし2番村尾がきっちり送るなど、上々の滑り出しを見せた。
2回表には四球で出たランナーを犠打とヒットで丁寧に返して一点先制。

投げてはエース竹山が5,6,7,8回を三者凡退に抑えていた。

点差こそたった1点だけれども、ここまでもう完全に勝ち試合だったことが、モノクロコピーのスコアブックからもありありと伝わってきていた。


が。
1-0で迎えた9回の裏。
先頭打者に初球デッドボール、次の3番バッターにワンボールからレフトスタンドに運ばれた。

ノーアウトで、たった3球で。
どうも負けたらしい。


「どうも負けたらしい」
という表現を敢えてしてみたのだけれども、きっとグラウンドに立つ選手たちみんなが、「あれ?」という感じだったのではないかと。

この試合の投球数は101球。完封ペース。
被安打3、奪三振7という数字を見ても、ホワイトウェーブのエースがいかに好投手なのかを物語っている。
打線もヒットこそ3本だったが、3つの犠打で丁寧にランナーを進めている。


でも、結果は敗戦。
スコアブックの特記事項の欄に『9回サヨナラゲーム。』と書かれているのがいやに切なく感じられた。

初勝利

(たぶん)重い気持ちで帰途についた初の公式戦からひと月と経たない、6月17日。
ホワイトウエーブにとって2戦目の公式戦は、長崎県営野球場(ビッグNスタジアム)で開催される『第77回都市対抗野球大会九州地区予選』だった。

対戦相手の福岡ブラッサムズ、こちらもホワイトウェーブとほぼ同期。

やはり先攻のホワイトウェーブ。
初回、先頭打者上村はまたも出塁。こんどはツーベースで。
犠打を絡めた丁寧な試合運びは、初戦と同様。
そして、8回終了時点で2-2という緊迫した試合展開も初戦と同じ。

違ったのは最終回。
先攻ホワイトウェーブはヒットで出塁した先頭打者を、犠打を絡めて確実に生還させ1点勝ち越し。そのまま9回裏を守りきり、3-2で公式戦初勝利を挙げた!

初戦のあの幕切れがあったからこそ、このときの初勝利はよりいっそう嬉しかったんだろうなぁ!

連戦の洗礼

都市対抗野球への出場権を懸けたトーナメントであったこの大会。
初勝利の美酒を味わったのもつかの間、翌18日日曜日もまた正午前にはプレーボールというタイトなスケジュールだった。

対戦相手は、またまたホワイトウェーブとほぼ同期登録の九州総合スポーツカレッジ。専門学校で野球を専攻している選手を中心にしたチームだ。

点数こそ0-4と比較的好ゲームだけれど、スコアブックを見ると3回以降はほぼ抑え込まれている…

散発3安打で完封を喫したこの試合。勝ち進んだら連戦という社会人野球の洗礼で、選手層という新たな課題も見えた。

そしてチーム力は

これが、日本野球連盟に正式登録した2006年の、鹿児島ホワイトウェーブ公式戦。

このあと秋にも日本選手権予選があり、初戦梅田学園線に7-5で勝利、翌日の2回戦でホンダ熊本に0ー6で敗れた。

この年の公式戦、通算5戦2勝3敗。

スコアブックを見せていただいたのは最初の3試合分だけれど、そこから感じた2006年当時のチーム力は、斉藤コーチもおっしゃっていた「楽しみなチームだな」ということ。
スラッガーがいるかどうかは分からないが、打てるし送れる。スモールベースボールを丁寧にやって来るチーム、という印象だった。あ、くれぐれも野球のプロではなく、いちファンとしての意見ですが。

スコアブックって、芝の上で繰り広げられたゲームを紙の上に切り取っただけの「記録」なので、書いていない情報のほうが多いのでしょうけれど…

とにかく、公式戦に出場した!
とにかく、勝った!!

当時の登録選手は約35人、試合に同行したのは約20人。
課題こそあれど、これだけの選手が集まり、連戦を戦うことができるというのは、初シーズンとしては万歳なのではないかしら。

仕事と同時進行でコツコツと練習を積み上げなければならない、意外と地味な社会人野球という世界。
そんな中での勝利が、選手たちの大きなモチベーションになったのかどうなのか。それはまた当時の選手たちにも尋ねてみたいと思います。


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