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第17回九州クラブ野球選手権大会本選レポート【球団News!2022.10.19号】

4月の都市対抗野球南九州予選に始まった今季。
今のところ私は、今季鹿児島で開催されたものに関してはすべての公式戦を見ているが、正直「?」なところが多かった。
記録上は勝っていても、試合内容がよくない。踏ん張れない。見ていて手に汗握らない。なんというのかな、胸に迫ってこない。そんな今季の試合だった。

でも、応援くださっているスポンサー様やサポーターさんの手前、これじゃ終われねぇ!選手たちのそんな気持ちが伝わってきたのが先月の九州クラブ野球選手権大会予選。意地を見せて南九州の第一代表を掴んだ。
これについては前回レポートしたのでこちらを読んでいただけたらわかると思います。

大会概要

この『九州クラブ野球選手権大会』は、企業を母体としないクラブチームだけで九州一を争う。
都市対抗野球大会やクラブ野球選手権大会のように全国へつながることはなく、あくまでも九州でのチャンピオンを決する大会。

クラブチームを有する九州各県持ち回りで開催されるのだが、今回はここ鹿児島で本戦が行われた(ちなみに、開催県だからといって高校野球のように鹿児島県の出場枠が増えることはない)。

九州各地で開催された予選を勝ち抜いた8チームが出場。

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地元開催

地元開催ということもあり、やはり話題性もあるのだろう。

ドリームウェーブは大会一週間前の10月8日には公開練習を行い、KTS鹿児島テレビで放映された。リンクはこちら⇩
https://www.kts-tv.co.jp/news/12089/

そして大会が始まる10月15日には、南日本新聞でも写真付きで記事が。

『鹿児島DW、攻守に自信』
 第17回九州クラブ野球選手権は15日、鹿児島市の平和リース球場、日置市の伊集院総合運動公園の量球場で開幕する。
 球種各地の予選を勝ち抜いた8チームが出場。鹿児島ドリームウェーブ(鹿児島DW)は15日午前9時から平和リース球場で、九州総合スポーツカレッジ(大分)と対戦する。決勝は16日。
 9月に就任した戸嶋博監督(西部ガス)の下で「機動力」「守備力」を重視する。制球力のいい左横手投げの山下大斗(ゼンケイ)と球威のある今井(同)が主戦。12人の投手陣を捕手・山下大輝(鹿児島大)が盛り立てる。
 攻撃は、中軸に力のある打者が並ぶ。3番榎並(昴)は長打力があり、4番上村(ユーミーコーポレーション)は追い込まれてからも粘りづよい。上位を打つ馬庭(ゼンケイ)はミート力が高く走塁もうまい。6番の吉田(城山ホテル鹿児島)は勝負強さが光る。
 下池主将(ユーミーコーポレーション)は「守備練習を追い込んできたし、走塁への意識も変わった。チームの雰囲気は良くなった」と一戦必勝を誓う。

スタンドには、選手たちの所属する企業関係者の方々や、福岡から約200キロを移動して観戦に来られた選手のご家族も。
せっかくなので、いいところを見せたいだろうし、見せてもらいたい!

初戦:九州総合スポーツカレッジ(大分)

初戦の相手は、大分の九州総合スポーツカレッジ。
19、20歳の選手が中心の若いチームだ。若いチームは波に乗ってしまうと止められないときがあるのが厄介。

私は、試合前の選手たちの表情を見たいと、少し早めに球場入りした。
早朝7:30。選手たちは朝日に照らされながら球場に道具を運び込むところだった。いい意味でリラックスしているように見える。

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スタメン

この日のスターティングメンバーは以下の通り。

ピッチャー 今井翔〔(株)ゼンケイ]

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1番 ショート 馬庭龍也〔(株)ゼンケイ〕

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2番 センター 高尾月翔〔(株)ゼンケイ〕

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3番 サード 榎並虹太〔(株)昴〕

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4番 ファースト 上村大希〔ユーミーコーポレーション(株)〕

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5番 指名打者 川口侑宏〔(株)ゼンケイ〕

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6番 ライト 吉田賢太〔城山ホテル鹿児島〕

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7番 レフト 埜川希龍[(株)ゼンケイ]

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8番 キャッチャー 山下大輝〔鹿児島大(学生)〕

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9番 セカンド 下池敦士〔ユーミーコーポレーション(株)〕

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試合前のシートノック、なぜか九州総合スポーツカレッジは行わなかった。
このため予定より7分ほど早まったシートノックだったが、ドリームウェーブの選手たちは軽快にグラウンドを確かめていた。

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試合経過

午前9時、試合開始。

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前半は完全に九州総合スポーツカレッジのペース。
先発今井が連打を浴びて3点を献上し2回で降板。リリーフした庵下〔ユーミーコーポレーション(株)〕は打たれはするものの要所はなんとか抑えた印象だ。

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ドリームウェーブは、0-3で迎えた5回表に反撃し、単打ながら三連打で2点を返す。
しかし5回裏に同じく2点を取られ、5回終了時点で3点差。

7、8回に1点ずつ追加し1点差で迎えた9回表、3連打で一死満塁。ここで打席に立った7番埜川のバットが快音を響かせた!

「抜けた!勝ち越し!」
おそらく球場にいるほぼすべての人がそう息を呑んだ打球だった。

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しかし、抜けていれば2人帰って勝ち越しという鋭い打球は、相手チームセカンド与儀のグラブに一直線に吸い込まれた。不運な当たり。
エンドランがかかっていたためランナーは戻れずゲームセット。

結果は敗戦。
ランニングスコアは以下の通りだ。

鹿児島DW   0 0 0 |0 2 0 |1 1 0 |4
九総スポカレ 0 3 0 |0 2 0 |0 0 X |5

過去に4回優勝したこともあるこの大会で、鹿児島ドリームウェーブは勝ち進むことはできなかった。

自分たちで試合を作っている

結果は敗戦だったけれども、ファン(私)の目にはチームの変化は明らかだった。

以前のドリームウェーブなら、5回に2点ずつ取り合ったところで気持ちが切れていたのではないかと思う。単調な攻撃になったり、バンバン打って大量得点したあと同じように打たれて大量失点したり。

でも、今回は違った。
攻撃が丁寧だ。ボールをよく見ているように感じる。
守備面も諦めずボールを追うし、エラーこそあったもののガッツあるプレーが目立った。

自分たちでリズムを作っている。勝ちを引き寄せに行っている。
そんな感じがした。
諦めない姿勢って、泥臭いプレーって、いざってときに相手チームの士気を削ぐとは知っていたが、そうかこんなプレーが重なってのことなのか、と感じた。

ただ、ツキがなかった。そこが残念。
最後の埜川の打球もだったが、どちらかというとボールのほうが相手守備のグラブに吸い込まれるような不運な当たりがあった。
こればかりは技術や精神力でどうこうできるものでもないので、致し方ないのだが。

気力と体力

監督コーチが入れ替わって一ヶ月半。
予選のときは急ごしらえ感があったチームにも、だいぶ監督の指導方針が浸透してきたようだ。

短時間で集中した練習、練習後は特守(守備の特別練習)が行われた。そのハードな練習に、しばらく立ち上がれない選手も多発。

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戸嶋監督はこうおっしゃっていた。「3時間の試合中、みっちり動ける体力をつけたい。体力があれば気力が出る。気力があれば、ここぞというときに踏ん張れるから」。
その結果が、確かにこの試合には出ていたと思う。

勝利のほうがいいに決まっているけれど

もちろん、勝利のほうがいいに決まっている。
鹿児島開催で、所属企業の方々やご家族が応援にいらしていたのだからなおさらだ。

でも、今のこのチームに最適な処方箋が勝利だったのか、というとどうだろう…と話してくださったのは國本球団代表。
ギリギリまで追い上げたが勝てなかった。
勝てない相手ではなかったのに勝てなかった。
その悔しさは、来季のバネになる。
それがこの冬を過ごすモチベーションになるのではないか。
ただね、もう一試合させたかったな。
そんな話をしてくださった。

失礼ながら、敗戦するならば理想的な負け方でしたね、なんて言ってしまった。誰のせいでもない運なのだけれども、だからこそ悔しい。そんな負け方は、彼らを強くしてくれると思った。

残す公式戦は、県内のチームで開催される大学社会人交流戦のみ。
きっとそれも現地で見ます。
有終の美を飾ってほしい。

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