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自分の思い通りにならない存在が成長させてくれる



私の人生の節目が幾つかある。

1、結婚した時
2、母親になった時
3、犬を飼う事になった時
4、離婚した時

今回は3、犬を飼う事になった時を振り返りたいと思う。

農家に生まれた私は、犬に対して特に強い思い入れはなかった、犬は番犬の役割で特に私には身近に感じる存在ではなかったからだ。

むしろ可哀想な生き物だと認識していた、犬小屋に年中繋がれて、特に当時は動物病院へ健診に行く事もなく、フィラリアの予防薬を与える事もない、だからなのか、長くても4年、大体2年で亡くなってしまった。

私は絶対犬を飼う事は選択しない!と決めていたのだ。

子ども達が生まれて育児に追われる、生き物を飼う余裕は全くなかった。

でも今思うと、私の人生は犬が登場する事は決まっていたのだと確信している。

元夫のエピソードをブログに書いたのだが、色々あり、中華料理店を経営する事になった辺りから、もう犬との出会いは必然だったのである。

犬を飼いたい!と切望していたのは娘だった、中華料理店経営に失敗して引っ越しを決めた時、元夫は娘に犬を飼おうと約束した。

娘は内向的で、学校に行くのは精神的にしんどい状態だった、でも無理して頑張っていた、心の支えは幼少の頃から大切にしていた縫いぐるみ達だった。

娘は本心は犬を飼いたい!と願っていた、中華料理店経営で娘にも心の負担があり、辛い思いをさせたので、元気付ける為にも犬を飼おうと元夫は決めていたのだ。

私は内心絶対反対していた、娘には悪いけど、これだけは譲れない!どんな事があっても屈することなく阻止せねばなるまい!と強く思っていた。

ここで娘の味方が現れる、長男の登場だ。

長男は非常に難しい思春期真っ只中で、私も元夫も恐れていた、そんな長男が携帯電話で、保護犬の飼い主を探しておられる家族とメールのやり取りをしていたのだ。

そして一度会いに行く事に決まってしまった、でも私は諦めず反対する気満々でいた、家族でそのワンちゃんとご対面、予想外に大きくて娘一人では散歩も難しく、飼うのは無理だとお断りする事にした。

私は安心感で満たされていた、でも娘は落ち込み、真っ暗になっている、すると夫が言った、「よし!今からペットショップに子犬を見に行ってみよう!」と。

まだ全く飼う予定はなかったのだ、ただ娘に子犬を見せて、いつか飼おうねと誤魔化すつもりだったのだ。

そして運命の出会い、ケージに2匹の子犬が入れられている、プレートにはミニチュアダックスとパピヨンのハーフ犬と書かれている。

店員さんが抱っこしてみますか?と声かけして来た、娘が抱っこする事になり、どっちの子犬にするか迷うと、すかさず長男が「こっちの白いワンコにして!」と言う、娘は子犬を抱っこした途端この子と離れたくない!という表情をした。

でも私は冷酷に反対するつもりだった、まさか長男があの一言を発するなんて!

長男は凄味のある声で言った、「このワンコを飼わないなら、殺すぞ!」

震えあがるほどの響きがあった!本当に殺される恐怖があった、長男は闇が深く特に元夫との信頼関係は破綻していた時期だった、案の定元夫も私と同じ恐怖を感じていて、「よし!この子にしよう!」と購入することを決めてしまったのだ!

私は心で『エ~!ウソ~マジで!?絶対イヤだ!』と反発していた、でもどんどん店員さんは用意している、もう断れない!そして店員さんが子犬が入ったかわいい箱を娘に手渡した。

これで犬との生活が始まってしまう!もう私の自由はなくなった!と後悔の気持ちでいっぱいだった。

車窓から雪がチラチラ舞うのが見えた、私は閃いた、「この子の名前は“こゆき” にしよう」そう言うと子ども達も大賛成してくれた。

こゆきを連れて帰り、慌ててケージを組み立てている間に早速こゆきは床にオシッコをした、家族全員でパニックになる、私は潔癖なので急いで片付け、何度も消毒した、するとまたオシッコした!もう先が思いやられる、泣きそうな展開だ。

結局、排泄物の始末は一番潔癖の私の仕事になり、この先も大変なお世話の幕開けになったのだった。

やっと組み立てたケージにこゆきを入れて扉を閉める、その途端に大型のワンコかな?と思うくらいの声量で吠えたのだ!こゆき恐るべし!!

引っ越した家は密集している住宅街で、隣の住人はとても神経質な方だった、だから慌ててケージから出す。

店員さんの説明では子犬は寝るのが中心の生活なので、ケージに入れて構わないようにそっとしてあげて下さい、って寝ませんけど!凄い声量で哭きますけど!とクレームを言ってやりたくなる。

こゆきは娘に抱っこされておとなしくしている、どう考えてもあんな凄い声量の哭き方をする犬には見えないのが恐ろしい。

その日からこゆきのお世話で生活は一変してしまった、まるで赤ちゃんのお世話をするような感じ、また私は始めから子育てをするみたいだった。

現在こゆきは8才になった、とても元気で4キロぐらいまで大きくなると言われていたのを上回り、6キロに成長している。

ダックスフントの胴長とパピヨンのスラリとした脚を持ち、非常に優雅に見えるこゆき、相変わらず物凄い声量で、アピールするように吠えまくる。

こゆきの哭き声で、近所のワンちゃん達もつられて大合唱になることが頻繁なのが面白い。

一筋縄ではいかない人生を、どう楽しむか?をいつも教えてくれる、こゆきは私の師匠なのかも?と最近は思っている。

これからも楽しく幸せに暮らそうね、大好きだよ、こゆき!



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