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『おくのほそ道』を詠む②


旅立

弥生も末の七日、あけぼのの空朧々として、月はありあけにて光おさまれるものから、富士の嶺かすかに見えて、上野・谷中の花の梢、またいつかはと心ぼそし。

むつましきかぎりは宵よりつどひて、舟に乗りて送る。

千じゆといふ所にて舟をあがれば、前途三千里の思い胸にふさがりて、幻のちまたに離別の泪をそそぐ。

行く春や 鳥啼 魚の目は泪


これを矢立の初として、行く道なを進まず。

人々は途中に立ちならひて、後ろかげの見ゆるまではと見送るなるべし。

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わたしだったら、夜が明けて、最後に見る景色になるんだなと、なるので、芭蕉は、情景をよく観察している。

情景に対する”愛”がある。

擬人化を使っているのも、その方が、情景を思い浮かべやすいからだ。

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