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『おくのほそ道』を詠む⑪


飯塚の里

その夜飯塚にとまる。

温泉あれば湯に入りて宿をかるに、土坐に筵を敷て、あやしき貧家なり。

灯もなければ、ゐろりの火かげに寝所をまうけて臥す。

夜に入りて雷鳴り、雨しきりに降りて、臥る上よりもり、蚤・蚊にせせられて眠らず。

持病さへおこりて、消入ばかりになん。

短夜の空もやうやう明れば、また旅立ちぬ。

なお、夜の余波心すすまず、馬かりて桑折の駅に出づる。

遥なる行末をかかえて、かかる病覚束なしといへど、羈旅辺土の行脚、捨身無常の観念、道路にしなん、これ天の命なりと、気力いささかとり直し、路縦横に踏で伊達の大木戸をこす。


笠島

鐙摺・白石の城を過、笠島の郡に入れば、藤中将実方の塚はいづくのほどならんと人にとへば、これより遥右に見ゆる山際の里をみのわ・笠島といい、道祖神の社・かたみの薄今にありと教ゆ。

このごろの五月雨に道いとあしく、身つかれはべれば、よそながら眺やりて過るに、箕輪・笠島も五月雨の折にふれたりと、


笠島は いづこさ月の ぬかり道


岩沼の宿。

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芭蕉も人の子。

旅をしていて、色々と悩むことや辛いこともたくさんあっただろうが、それをいい意味で軽やかにあしらう。

そんな芭蕉の精神が、彼の詠む句にさり気なく籠められている気がします。

学生時代、わたしはまったく勉強が出来ず、興味もなくて、いつもダジャレみないなことを考えて披露し、友人を笑わせていた。

友人が大笑いしてくれることが、嬉しかった。

また友人もわたしを笑わせて励ましてくれた。

どんな道であっても、笑いさえあればきっと大丈夫、そんな気がします。


四匹の 蛙笑えば 福来たる

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