マガジンのカバー画像

禍話リライトの記録

18
自分がリライトした禍話まとめ:書く対象はその時点で他の方のリライトがまだ無い回から選んでいます
運営しているクリエイター

2021年9月の記事一覧

禍話リライト「手なら入る」

禍話リライト「手なら入る」

今はもう取り壊されたらしい、廃神社か廃寺かのお話。

そこの山門、つまり入口は、一目で異常とわかる状態だったそうだ。
上・中・下の3カ所が、漢数字の「三」のように、黄色い紐でぐるぐる巻きにされていた。

いつ頃からそうなったのか、そもそもなぜそんな風になっているのか、などはわからなかった。
ともかく、普通の人は山門を見た瞬間に引き返すだろう。
そこで止まらなかった奴らがいた。

彼ら三人組はある日

もっとみる
禍話リライト「yのいるビル」

禍話リライト「yのいるビル」

「最近あいつ警備員のバイト始めたんだって」
大学の部室で怠惰に過ごしていると、そんな話が出た。

そこにいたのは暇を持て余した学生たち。
たまたまその場にいない奴の話になり、上の言葉につながった。

警備員ってお給料いいらしいね、なんて受け答えが続く。
その話はそれ以上膨らむこともなく、ダラダラと過ごし続けて、日付が変わる真夜中ごろ。

先ほど話に出た、警備員を始めた青年から電話がかかってきた。ち

もっとみる
禍話リライト「封筒の届く家」

禍話リライト「封筒の届く家」

禍々しい家の話。

******************

ある地方にあった賃貸の古い一軒家。
そこには初老の男性が一人で住んでいた。
男性は身寄りもなく、また年金暮らしなのか、外へ働きに出なくても済むようで、あまり周囲との交流はなかった。
この男性が問題だったのではない。
その家の玄関にある郵便受け、つまりポストが時々変だったという。

近所の住民いわく。
⎯⎯ 夜遅くや早朝にその家の前を通ると

もっとみる