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2021年9月の記事一覧
禍話リライト「手なら入る」
今はもう取り壊されたらしい、廃神社か廃寺かのお話。
そこの山門、つまり入口は、一目で異常とわかる状態だったそうだ。
上・中・下の3カ所が、漢数字の「三」のように、黄色い紐でぐるぐる巻きにされていた。
いつ頃からそうなったのか、そもそもなぜそんな風になっているのか、などはわからなかった。
ともかく、普通の人は山門を見た瞬間に引き返すだろう。
そこで止まらなかった奴らがいた。
彼ら三人組はある日
禍話リライト「yのいるビル」
「最近あいつ警備員のバイト始めたんだって」
大学の部室で怠惰に過ごしていると、そんな話が出た。
そこにいたのは暇を持て余した学生たち。
たまたまその場にいない奴の話になり、上の言葉につながった。
警備員ってお給料いいらしいね、なんて受け答えが続く。
その話はそれ以上膨らむこともなく、ダラダラと過ごし続けて、日付が変わる真夜中ごろ。
先ほど話に出た、警備員を始めた青年から電話がかかってきた。ち
禍話リライト「封筒の届く家」
禍々しい家の話。
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ある地方にあった賃貸の古い一軒家。
そこには初老の男性が一人で住んでいた。
男性は身寄りもなく、また年金暮らしなのか、外へ働きに出なくても済むようで、あまり周囲との交流はなかった。
この男性が問題だったのではない。
その家の玄関にある郵便受け、つまりポストが時々変だったという。
近所の住民いわく。
⎯⎯ 夜遅くや早朝にその家の前を通ると