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この家のナースになることにした

 日本全国に出された緊急事態宣言。
 5/6には収束しなさそうな気配・・・。
 地元の学校は5月末まで休校の決定がなされました。
 感染して大変な思いをされている方のお辛さはもちろんのこと、暮らしに行き詰っている方々の生活苦、子供たちの居場所が奪われていること、全ての芸術活動が止まってしまっていること…どれも本当に心が痛みます。

 私はというと…。
 たまたま去年12月末で退職して新たなことを始めようとしていた矢先のコロナなので、もちろん新たな試みなどできるはずもなく頓挫。生まれて初めて無職になったのがこのタイミングって我ながら凄くない!?って思います。
 アナタ看護師でしょ、ケアマネでしょ、社会のためにお役に立ちなさいよと自分でも思うけれど、冷静に考えてなっちのいる我が家ではそれは無理。
 頑張ってくださっている医療従事者の皆さんを心から応援しつつ、ご無事を祈りつつ、私は家族のためにこの家の看護師でいる選択をしました。

 正しい情報の入手に時間を割き、家の環境整備と消毒・清掃。
 アルコールジェルやスプレー、マスク(手縫い。既出^^;)やペーパータオル、処置に必要なゴム(ビニール)手袋など必要物品を少しずつ揃えました。家族のみならず出入りしてくださる支援者さんのいる我が家は一つ間違えればクラスタになってしまいますから、その皆さんの安全もできるだけ守っていく。
 こうして、この家のために看護師として皆の健康を守りつつ家事に専念し、日々を大切に過ごすことにしました。

 そうして3週間。
 お籠り生活にもずいぶん慣れ、きれいにするついでに整理整頓。断捨離に拍車がかかり、掃除と模様替えを楽しむ日々。そして、マスクづくりやその他手芸・調理・メールやお手紙を書く時間も楽しみ、一足早い老後生活をイメージしつつ、『あ~私って、年をとって自宅で過ごす時間が増えてももしかしたら大丈夫かも💦』と訳の分からない自信を持ったりする今日この頃。
 万年GWでございます^^;

 
 そんな私が、本当は考えなきゃいけないことだけど、いろいろややこしすぎて考えるのを拒否していたこと。

それは、

『私が感染したらどうするか』『なっちが感染したら私は親としてどうしたいか・しかし現実にはどうなるか』

ということです。

 3月・4月の最初のころは、日本の特に私の居住している地域の感染者数も少なく、気を付けていれば感染しないんじゃないかなという根拠のない仮定のもとに、この大切なことを考えるのを拒否していました。
 でもそのうち全国的に経路不明の感染者が増えてきて、どんなに気を付けていてもどこで感染するかわからないよね、誰のせいでもないよねっていう事態になってきました。
 いつまでも思考停止してもいられなくなったので、一つ一つイメージしてみることにしました。


【母である私や同居家族が感染したら(なっち非感染)】
・隔離してくださるのであればホテルなどに隔離していただく。自宅にいなさいということであれば、近所にある我が家の小さな離れに行って自主隔離生活を送る。
・その際、なっちの世話は、濃厚接触者でおそらく出勤停止であろう夫と長男にお願いしよう。
・なっち以外の家族が全滅したら…、相談支援専門員さんに『よろしくお願いします』とお任せしてしまおう。(何を考えたところでどうにもこうにも、本当に無理なので…)

 私や家族の感染はまずまずイメージしやすかったです。

 問題は、
【アンジェルマンであり重度重複障害者であるなっちが感染したら】
ということでした。

 なっちの症状が軽症、中等症、重症に関わらず、そして私が陰性であるか陽性であるかに関わらず、なっちのそばには私を置いていただかないといけないと強く思いました。

 なっちは、ここ数年は痙攣の発作も起こしていませんし、よく食べよく運動し、最近はよく寝てもいる健康優良者なので病院のお世話になることはほとんどありませんが、思春期頃までは成長による体格の変化や薬の加減などで体調が日々大きく変化しました。
 多い時はけいれん発作が一日に何度も起こり、機嫌もよくなくしんどそうで、看ている親もどうしてやればいいのかわかりません。
 そういう時は、自分の体調不良が理解できないなっちはただただ不安になります。
 不安で身体を固くし、呼吸を荒くし、身の置き所なく多動になります。不安に陥ると安静など、ほど遠くなってしまいます。
 文字通り『代わってやりたい』『こんな身体に産んでしまってごめんね』という切なさ辛さでそばに居続け、『ここにいるよ』『大丈夫だよ』と少しでも心が安らぐように声をかけ続けるしかないのです。
 安心感で、ちゃんと息が吸えるように、身体の力が抜けるようにそばにいることしかできません。

 新型コロナウイルス感染で肺炎にまで移行したとして、意識まで低下したならともかく、意識のある状態で呼吸苦のあるなっちの世話をできる人が私以外にいるはずもないだろう…と思ってしまいます。
 ただでさえ忙しい医療従事者に、「この子は目も手も離せませんからよろしく」とお願いできるはずもありません。
 もしもそういう事態になったら、母の私は非感染者であってもなっちのそばに置いてくださるよう医師に進言してくださいと、なっちの相談支援専門員さんたちにお願いし、『必ずそう進言します、お任せを!』と言っていただきました。

 もちろん可能な限り自己防衛はします。どんなに感染者と濃厚接触したからといって感染しない手立てはできるだけ打ちます。(でも、現実は、なっちの飛沫を浴びまくりそうだし、マスクを取られそうだし、防護服もむしり取られそうだから…無理かもですねぇ…)

 そうできるといいなぁ…と、最悪の事態をイメージはしつつ、そして無事を祈りつつ、今は皆が安全に過ごせる努力を懸命に続けようと思います。

笑顔が増えるための活動をしています。 いただいたサポートは、稀少疾患であるアンジェルマン症候群の啓蒙活動、赤ちゃんから高齢者まで住み慣れた地域で1人でも多くの方が笑顔になるための地域活動の資金として大切に使わせていただきます(^^)