DREAM SALVAGE
誰も居ない和室に着いた。20畳程の部屋が3つ4つ繋がっており、時間は昼過ぎ頃。窓から光が差している。
部屋の真ん中に無造作に箱が積まれており、開けてみると10年ほど賞味期限が切れた和菓子が出てきた。空腹感があったが、口にする勇気はなかった。
見渡しても他に注視するようなものも無く、日常的に使用されている部屋ではないようだ。
人の気配に注意しつつ外に出てみようと襖に手を伸ばしたが、襖の上に小さな円い鏡が置いてあり、自身と目があった。
箱の中でじっと目を閉じていると時間はすぐに過ぎた。港には細い銀の棒のようなものが規則的かつ雑然と並んで浮かんでおり、太陽の光を乱反射させている。どうやらひとつひとつが車両になっているようだ。
その中をくぐっていけば向こう岸に早く届くと考えたが、陸についたもののすっかり迷子になってしまった。
対岸に小高い丘が見える。多分あの辺りが先程まで居た場所だ、またそこまで海を歩いて行こうかと悩んだ。
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