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DREAM SALVAGE

珍しい肉が必要で競りに出かけた。腐りやすい部位なので高くはなかった。ブロッコリーや芋と共に蜂蜜と牛乳で煮込む。病気の兄弟に明日食べさせる。
一抱えもある大きなヘチマが縦に割られて肉の横に積まれている。バターと砂糖は足りていて、野菜がもう少し欲しかったが見つからなかった。
困ったことがあれば何でも相談して欲しいと伝えた。では車を貸して欲しいと頼まれた。窓の歪みを直すための資材を買いに出かけたいのだという。忙しい時期を過ぎたらそうしよう。
青白い夜が訪れた。窓から差す光に照らされて白い飛行船がゆっくりと室内を回転する。
ずっと玄関のチャイムが鳴っている気がして相談したが、そんな事は無いと諭された。慌てて外へ出たが目が開かずに何も見ることが叶わなかった。
家鳴りが変拍子のポリリズムで響いている。こんなに眩しいのに、何度目を開けても夜のままだ。
そろそろ目を覚まそうとすると、ひどく寂しそうな表情を見せた。

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