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小さな星の方が偉いのに

数年前、片思いしていた女性がいる。星をみるのが好きだと言っていた。
僕がいる田舎は天気が良い日に星がよく映える。
何の流星群か忘れたが1度だけ一緒に星を見た事がある。流れ星を探した。

流れ星はたった一瞬の出来事だ。優しくゆらゆらと光る小さな星はその瞬間、ただの風景の一部に過ぎなくなってしまう。
3回願いを唱えることなんかできっこない。仮にできたって叶う保証なんてどこにもない。

それでも彼女は綺麗な横顔で空を見上げた。誰と見るか、なんてどうでも良かったんだろうけど、その時間を僕は今でもたまに思い出す。
彼女を横目に心の中で、「一緒にいられますように」と星の数ほど唱えた。
その気持ちをようやく言葉にした後、彼女の横顔を見ることはなかった。

やはり願いが叶うなんて嘘だ。いや、「3回」の約束を破ったからだろうか。

ずっと光り続ける小さい星の方が偉いのに。

今日は流星群。
空はうすい雲に覆われていて流れ星は見えそうにない。

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