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歯だけ見てたら、分からない

学校教育において、歯科大学で教えることは、悪いところ探しと、その治し方
どこに虫歯があるか?どの部位が歯周病か?どのくらい悪いのか?
その原因は歯ブラシができていないから,頑張って歯を磨いて下さい。治すときは、こんな方法があります。
こんな感じです。

間違いではないけれど、本当にそれで良いのですか?

肝心なものを見ていないんじゃないですか?
口全体のバランスを見ないといけないですね。ある1本の歯を残すことは、大切ですが、全体を見て、どの歯が一番大切なのか、どの歯が抜けたらダメなのか、どの歯がどうなりそうか?噛む力は強いのか?他の歯は、虫歯になりやすいのか?
 
さらに、その患者さんの仕事、趣味、家庭環境、食べ物の嗜好品など、そういう情報はとても大切です。実は、新しい職場に異動になり、すごく忙しい、シフト制で夜勤があり、生活リズムがバラバラ、親が認知症になってしまった、子供の受験をひかえている、格闘技をしてる。

患者さんの背景は人それぞれです。問診票の主訴、詰め物が取れた、という一言。その背景には、隠された真実があるかもしれません。
検査結果だけ見ていて、その患者さんの何がわかるのでしょうか?

私は、病気に興味があるのではなく、あなたに興味があるのです。どこが痛いのですか?ではなく、あなたの問題は何ですか?ストレートにこうは聞きにくいですが、知りたいのはそういうことなんです。
 
歯医者に限らず、お医者さんも、もっと患者さんのことをしっかり見ましょう、話を聞きましょう。

そういえば、以前遊びに行った五島列島の歯医者さんは、患者さんの全てを知っていました。あそこのおばちゃんが寝たきりになった、どこそこで子供が産まれた、誰さんの旦那が都会から戻ってきた、全部知ってるから、歯が痛いって受診しても話が早い。全部知ってるから、口の中を見て、全部わかっちゃう。漁に出て綱を口に咥えてるからこんなことになっちゃうんだよ、だから言ったじゃないかー。みたい感じ。
  
都会の歯科医でもできます、そういう歯医者さん。

歯を診て、口を見て、その人を観る。

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