ベーシッククラス「演技の使える基礎作り:理論から実践」
演技で悩む俳優は、「基礎を知らない/習ったことがない。」、「メソッドはなんか聴いたことがあるけど使えない」、「色々やったけど、何が基礎かが分からない。」ということを言います。こうした基礎がないということで俳優は不安で悩み続けます。
このベーシッククラスのテーマは「演技の使える基礎作り:理論から実践」です。演技の土台を求める俳優のために、演技に必要な基礎、その応用方法、実践まで学びます。またできるだけ偏った知識や経験にならないように、演技に必要な力を総合的に学べるカリキュラムを作りました。
一般の演技レッスンでは講師は俳優に台本を渡し、演技をさせ、演出として指導や指摘しか行いません。そうしたレッスンには具体的な目的がなく、またテクニックやコンセプトがなく学びがあまりありません。こうしたレッスンに通った俳優は、講師の主観と経験に基づているので、漠然とした経験は得られますが、明確な知識やスキルがないと振り返ります。
このクラスでは具体的な演技に対する知識、ロジック、経験、そしてスキルが学ぶことができます。俳優にとって明快な知識が得られ、実力がつくことは成長の実感を持つことができとても有意義ですし、なにより観客の前で満足できる芝居ができるのは大きな喜びです。
▼レッスン概要▼
①②『俳優の体づくり』
俳優の体をつくります。スポーツと同様、演技にも必要な能力があります。身体感覚、五感、想像力、空間認識など多彩です。役を演じる上で、必要な心身の能力を伸ばしていきます。
□使用テクニック・コンセプト□
身体感覚・五感・サイコフィジカルエクササイズ・イマジネーション・アンサンブルワーク・マジックイフ・無対象行動・センソリーワーク空間意識
③④⑤『役へのアプローチ』
役を演じるためのロジックを理解し、応用できるようにします。役には常に自分を突き動かす願望を持っていて、それを成し遂げようと必死に行動します。観客は役の葛藤に共感します。
□使用テクニック・コンセプト□
目的・行動・障害・エモーショナルプリパレ―ション(感情の準備)・モーメントビフォ・サイコロジカルジェスチャー・クオリティ・正当化
⑥『相手役とつながる交流(行動と反応)』
演技は、役と役との間で起こります。つまり相手への働きかけや影響から演技が自然と起こります。
□使用テクニック・コンセプト□
コミュニケーション・行動・反応・リラクゼーション・エナジーボディ・注意の輪・ジェスチャー
⑦『役作り』
違う人物に変身することは、役者の仕事の本分であり、根源的な喜びです。そして無意識の領域には自分でも知らない様々なキャラクターが眠っています。それを想像力などを使い呼び起こしていきます。
□使用テクニック・コンセプト□
イマジナリィボディ・イマジナリィセンター・即興
⑧⑨⑩『シーンスタディ』
これまでに使った知識や技術をテキストで使えるようにします。最後には発表をする予定です。
⑪『ミニパフォーマンス』
これは本講座のプラスアルファで行われます。クラスで積み上げた内容を、観客の前で披露します。
▼一日のタイムテーブル(参考)▼
<序盤>
ウォームアップ:フィジカルトレーニング、サイコフィジカルエクササイズ
課題の確認
<中盤>
テーマの理解と探求
エクササイズ
<終盤>
テクニックをテキストに応用させる
その日の成果の確認
課題の提示
▼使用メソッド▼
スタニスラフスキーシステム(担当:秋江・野田)
スタニスラフスキーシステムは、ロシアのモスクワ芸術座の創設者であり、近代演技法の父であるコンスタンチン・スタニスラフスキーによって作られました。多くの演技メソッドが彼の演技法(システム)から派生です。演技の基礎にもなり、今なお彼のシステムは世界中で学ばれています。
マイズナーテクニック(担当:野田)
マイズナーテクニックは、アメリカの演劇実践者サンフォード・マイズナーによって開発された演技へのアプローチです。そのアプローチの目標は、俳優が自分自身に集中して閉じこもるのではなく、身近な環境にいる他の俳優に集中し、感情やエネルギーのやり取りができるようになることです。
マイケルチェーホフテクニック(担当:秋江)
スタニスラフスキーの弟子であり、20世紀を誇る俳優の一人です。講師としても優れ、師であるスタニスラフスキーのシステムをさらに発展し、老若男女、世代や国を超え俳優がクリエイティブに使えるテクニックを創り出しました。特徴は、想像力と身体の動きを使い、豊かなイメージや感情にアクセスします。
リーストラバーグ(担当:野田)
アクターズスタジオのディレクターで、「全米で最も権威のある演技学校」。「メソッド」を開発し、「アメリカにおけるメソッド演技の父」であると考えられています。 192彼はアメリカの演劇や映画のパフォーマンスに大きな影響を与えることで、演技の芸術に革命をもたらしました。
エリックモリスシステム(担当:野田)
ロサンゼルス、ニューヨーク、全米、そして世界中で 53 年間、独自の演技システムを教えてきました。 彼の演技へのアプローチは、俳優に「演技しない方法」を教えることであり、俳優に「経験するプロ」になるように教えました。つまりそれは、感情的な行動を強要するのではなく、キャラクターが台本の中で実際に経験していることを現実に経験しなければならないことを意味します。
▼チームティーチングで行う理由▼
今回は2名の講師がレッスンを同時に受け持ちます。一人の生徒を多くの講師がみることで、生徒は演技を多面的に学ぶことができます。
カリスマ的な指導者や劇団の座長が先頭に立ちすぎると、その人のやり方に染まってしまい、俳優はないがしろにされます。権力が集中するので、意識の中に格差が生まれ、ハラスメントの温床となります。
講師はもう一人がリードしているとき、俳優のサポートに入ることができ、メンタルケアや個人指導ができます。また互いの指導の方法にも関与できハラスメント防止対策にもなります。
▼テキスト
テキストはモノローグ(独白)とダイアローグ(対話)を使います。
受講生を見てテキストは選考します。
▼定員
10名
▼日時
全10回 3/18・25、4/1・8・15・22・29、5/13・20・27
※5/28に発表会を行います。
▼場所
トシプロスタジオ
杉並区上荻2-21-25アズマビルB1F(JR荻窪駅徒歩8分)
▼料金
50000円(場所代込)
▼申し込み方法
HPの「APPLICATION」より申し込みください
▼講師紹介
野田 英治
1977年生まれ。
映画「RIKO」(井坂聡監督)でデビュー。その後、小劇場・商業演劇を経て、ここ数年は映像中心の活動をしている。
メソード演技から始まり、マイズナーテクニック、マイケルチェーホフ、イヴァナチャバックなどを学ぶ。日本人だけではなく、イギリス・ロシア・アメリカ・インド・韓国等、様々な国の方からも直接指導を仰いだ。
俳優としてNHK大河ドラマ「坂の上の雲」NHKドラマ「ランチのアッコちゃん」NHKドラマ「クロスロード」「シマウマ」(橋本一監督)「あゝ荒野」(岸善幸監督)「アルキメデスの大戦」(山崎貴監督) などに出演する。
講師としてマイズナーテクニックについて週100名以上の生徒を教えていた経験を持つ。
また外部での映画監督を中心とするWSでの定期的な演技クラス、芸能事務所や養成所でも指導を重ねる。その他、個人レッスンにて、商業映画やTVドラマの演技サポート、短編映画の主役オーディション対策し合格に導く。
http://live-to-play-studio.tokyo/#greet
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秋江智文
俳優・演技講師・演出家
マイケル・チェーホフスタジオ東京代表
21歳のときマイケルチェーホフの著作『To the Actor』を読み、強く感銘を受ける。25歳のとき渡英。英国アルテミス・スピーチ&ドラマスクールで、チェーホフテクニックのサラ・ケーン(Sarah Kane)および、校長のクリストファー・ガービー(Christopher Garvey)に師事し、チェーホフテクニックやスピーチテクニックを学ぶ。また『マイケルチェーホフロンドンスタジオ』(Michael Chekhov Studio London)の校長を務めるグラハム・ディクソン(Graham Dixson)にも師事する。現在ではウルリッヒマイヤーホーシュ(Ulrich Meyer-Horsch)を師として、日本でマイケルチェーホフテクニックを体系立てて教えている。大手事務所、演技スクールなどでも演技を教えている。
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