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#59 昭和元禄落語心中(2019)-俳優ふたりの落語の破壊力が驚異的

NHK紹介文

昭和初期、落語の世界に入った八雲は、同期入門の落語の天才・助六と、固い友情で結ばれる。八雲は助六の芸に憧れ、嫉妬し、追いつこうともがき、芸者・みよ吉にも支えられ、成長していく。やがて、助六とみよ吉とが結ばれるが、ふたりは謎に満ちた事故死を遂げてしまう。八雲はその死を巡る秘密を抱いたまま、ふたりの遺児・小夏を引き取る。小夏は、八雲を「親の仇」と恨んで成長し、やがて天衣無縫な八雲の弟子・与太郎とともに、八雲がひた隠す「助六とみよ吉の死の真相」に迫っていく…。

そう言われると確かに

「助六とみよ吉の死の真相」のインパクトは大きく、さらに八雲と小夏の数奇な縁にも「ギョッ」とさせられるのですが、このドラマの醍醐味はそこではないのですよ。私はドラマを見てから、原作(人気漫画)を読んだのですが、印象や余韻は原作よりもドラマの方が深かったように思います。

落語を超えた落語

ポイントはここです。有楽亭八雲を演じる岡田将生さん、そして、有楽亭助六を演じる山崎育三郎さんの落語が凄すぎるのです。それも、練習を積んで上達した「巧い落語」ではなく、俳優にしかできない「ひとり芝居」なのですよ。常に悲壮感を漂わせながらストイックに芸を磨き続ける八雲による古典落語、そして、伝統に歯向かいながらひたすら面白さを追求しようとする助六の大衆落語、私はこのふたつのコントラストに引きこまれました。

中央:八雲、後方:助六

NHKならでは、エンタメ無視

落語を扱ったドラマとしては、宮藤官九郎の『タイガー&ドラゴン』が有名ですが、長瀬智也さんや岡田准一さんが演じたエンタメ性溢れる落語とは明らかに一線を画した、重厚感あふれる作風であったためか、ドラマの知名度はそれほど高くないのですが、一人でも多くの方に、岡田さんと山崎さんの落語に触れて頂きたいと願っています。


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