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#134 八日目の蝉(2010)-切な過ぎて泣いてしまうやろ!

NHK紹介文
「私はもう、今までの私とは違う。私はこの子の母なのだ。」不実な男との実らない愛。男は女が母となることを否定するかたわら、妻との間には子をもうける。絶望の中、女はその子を奪う。母になるとは、女として生きるとは・・・。血のつながりを越えた母子の5年半にわたる逃亡劇。現代的課題に真っ向から向き合うドラマです。

生まれか、育ちか?

映画もドラマも良かったが、切なさという点で、NHKドラマ10の方が凄まじかった。不倫の末、子どもを産めない身体になり、鬱を患った野々宮希和子(檀れい)が不倫相手(津田寛治)の子どもを奪い、実の子として育てながら逃避行を続ける。幸せを感じ始めるたびに、拉致犯としての存在が露見しそうになり、そのたびに逃避先をかえていくが、その間も娘との絆は深まり続けていく。まさに、「生まれ」より「育ち」。親子の愛情とは何なのか、深く考えさせられる名作だった。

逃げ続けるふたり

逃避行:エンジェルホームへ

薫(拉致した娘、架空の名前)とともに逃避を続けた土地の中で、最も印象的だったのが、わけありの女性だけで共同生活を送る「エンジェルホーム」だった。一種、宗教団体ともいえる組織のルールに順応しながらも、好奇の目にさらされ、そのせいで拉致が発覚しそうになると、人目を忍び、暗闇の山中をふたりで逃げていく姿が哀しかった。ホームの主導者・サライを演じた高畑淳子さんの存在感も凄かった。

ほんまもんのカリスマ教祖に見える

逃避行:小豆島へ

エンジェルホームで知り合った親友・久美(坂井真紀)の実家・小豆島で、物心のついた薫と幸せで平穏な日々を送れたのも束の間、小豆島の行事でたまたま写された写真が全国誌に掲載されたことで警察の目に留まり、希和子は薫に別れを告げることも真実を伝える間もなく、逮捕され、離れ離れになる。娘の面倒を診てくれた漁師・文治(岸谷五朗)や家族同然にもてなしてくれた久美の母親(吉行和子)に見送られる姿が切な過ぎた。

なんで写真を撮るかなぁ(怒)

そして歴史は繰り返す

5歳にして薫は希和子から解き放たれ、実名の恵理菜として実家に戻るが、親の愛に恵まれず、また、周囲の好奇の目にさらされ、アイデンティティを失っていく。成長した薫(北乃きい)は、自分を拉致した希和子と同様、不倫に走り、妊娠してしまう。そんな自堕落な人生のルーツを探るため小豆島を訪れた薫は文治や久美と出会い、自分らしさを取り戻していく。小豆島からの帰りに立ち寄った岡山の港でニアミスする薫と希和子。このラストシーンの切なさが破壊的で、金縛りに遭った記憶があります。

運命の再会

檀れいの抜擢はファインプレイ!

そもそも、こんな奇麗な人が不倫や拉致に走るわけがないと自覚しつつ、美しい分だけ引きこまれました。たった6話なので、ぜひいろんな方に観て欲しいと思います。

う、美しい…


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