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#129 カーネーション(2011)-最後の1か月を除けば朝ドラ史上不朽の名作②

NHKオンデマンド紹介文

勝(駿河太郎)の戦死を知った糸子(尾野真千子)だが、悲しみすら実感できないまま葬式を出す。そして炎天下の消火訓練や空襲警報の合間に、疎開先の家族に自転車で食料を届けるのだった。泰蔵(須賀貴匡)の戦死や神戸の屋敷の全焼など、つらい出来事を感情を殺してやり過ごした糸子だが、だんじり小屋を訪れた時、幸せだった時代を思い、涙がこみ上げる。疎開先の
空襲で子どもたちを守った糸子は「絶対に死なない」と固く誓う。

第13週 生きる part1

当時の朝ドラは1週6日で放映していました。カーネーションの第13週は年末の3日間のみでしたが、「反戦」がグッと凝縮された濃い回でした。特に3日のうちのはじめの2日間は、消火訓練、空襲警報からの逃亡、近親者の戦死と法要、疎開中の家族への食糧の配達など、慌ただしい活動が繰り返されます。その間、糸子(尾野真千子)はずっと無表情でしたが、幼い頃から憧れてきた「だんじり」を見た瞬間に、抑え込んでいた感情があふれ出します。その後すぐ、ルーティンに戻ってしまいますが。。。

だんじりを見て泣き崩れる瞬間

第13週 生きる part2

第13週の3日目もルーティンが繰り返されますが、ラジオから「玉音放送」(天皇陛下による敗戦の報告)が流れ出た瞬間に、街中大騒ぎになり、小原家の家族も従業員も外に駆け出します。そんな中、糸子(尾野真千子)だけは無表情のまま、「ほな、お昼にしよけ」(関西弁:では、お昼ご飯の支度をしましょう)と呟き、立ち上がったところで「つづく」となり、前半が終わります。このフレーズを聞いて、「やっと戦争が終わったんだ」と実感できました。たった一言で終戦を周知する-すごい演出だと思います。

第14週 明るい未来

年明けの4日間で構成されたシリーズですが、初日の印象が強いですね。お昼ご飯(お茶漬け?)を食べた後、モンペに縫われた名札を剥ぎ取り、自作のアッパッパ(下の写真)に着替え、大の字で寝っ転がったところで、久々に糸子が笑います。その後は戦争の暗雲を振り払うかのような明るいドラマに戻っていきます。戦争孤児や堕ちていく親友のエピソードは残りますが、「戦争のない明るい未来」を彷彿とさせる、爽やかな年明けとなりました。

「だんじり」と並ぶドラマのシンボル・アッパッパ

第15週 愛する力(一部)

「愛する力」という点では見どころがふたつありました。今回はそのうちのひとつを紹介します。幼い頃からライバルであり腐れ縁であり、岐路に立つたびに助け合ってきた令嬢・吉田奈津(栗山千明)が戦後の闇市の中で身体を売っていることを知った糸子が全力で救い出し、新たな居場所として、安岡家の美容室を紹介します。その後、結婚を機に、ふたりの距離は離れますが、最終週に運命的な出会いを果たします。いろんな見どころのある名作でしたが、最初から最後まで糸子と絡み続けたのは奈津だけでした。そういう意味で、第15週はとても印象深い回となりました。(つづく)

バラック小屋での再会


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