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#14 二月の勝者-絶対合格の教室(2021)-学校教育への挑戦状

日テレ得意の匂わせ学園ドラマ

いじめや家庭崩壊などがはびこる現代社会に鋭くメスを入れる、日テレ固有のパターン。開始当初は、主人公の奇天烈な行動に「何が始まったんだ?」と思わせ、中盤では「これはひょっとして世直しか?」と匂わせ、終盤になると、主人公の壮絶なフェードアウトで視聴者を強引に感動させる。『女王の教室』『家政婦のミタ』『3年A組』と言えば納得して頂けるかも。

民間教育(塾)への期待感

何かと社会悪と捉えられがちな塾を舞台として、謎の大物講師・黒木先生(柳楽優弥)が毎回、次々と小学生の学習へのモチベーションを高揚させていく-この姿はどう考えても「学校教育へのアンチテーゼ」にしか思えなかった。児童個々の特性に合った指導を通して、難関私大合格へと導く姿は圧巻で、「学校の先生も頑張って!」というメッセージが伝わってきた。

学校教育への期待感

もうひとりの主人公・佐倉先生(井上真央)の存在感も大きかった。中学校で挫折し、塾講師としての活動を通して自信を取り戻し、学校に復帰する最終回に感銘を受けた。塾の責任者を引き継ぐわけではなく、黒木先生と結ばれるわけでもなく、公教育に戻っていく姿に「日本の教育を変えよう」という主張を感じた。『明日の約束』では、学校教育に絶望して転勤していくスクールカウンセラーを演じられていたので、ホッとした。

職員室も多彩

日テレの学園ドラマは職員室の仲間が個性的で、このドラマのキャスティングもかなりイケていた。嫌味かつ小悪魔的な役柄の多い瀧内公美さんと悪役一辺倒の池田鉄洋さんが演じるコミカルな塾講師は愛嬌で満ち溢れていて、「教育=ブラック」というステレオタイプを打ち砕く効果があった。苦労しつつ、保護者や児童に寄り添い、児童を成長に導く姿は教師の鏡だった。

楽曲、最高

ドラマのオープニングで流れる「未来へ」(NEWS)、エンディングで流れる「沈丁花」(DISH//)、子どもたちの歌声(頑張れがんばれ受験生!)も良かった。コロナ禍にあって、対面授業の良さを見直すうえで見事な演出だった。

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