#140 白い春(2009)-実の父と育ての父との葛藤、そして衝撃の最終回!
カンテレ紹介文
自分の娘とは知らず出会ってしまった「不器用で最悪な男」。そして、その少女を実の娘のように育ててきた「真面目で善良な男」。自分と愛する人との間に娘がいたと初めて知ったとき、そして、その娘を育てている父親がいると知ったとき、その”最悪な男”は何をどう感じるのか?このドラマは“究極の親子愛”をテーマに、不器用ながらもひたすら娘を愛する姿をユーモラスに描く、感動のヒューマンドラマ。
阿部寛×エンケン×大橋のぞみ
妻(紺野まひる)の出産費を工面するために、人を殺め、服役するも組員に裏切られ、妻を死なせたことも子どもが生まれたことも知らずに、前科者として実の娘に出会ってしまった「不器用で最悪な男」に阿部寛。生まれてきた子どもを我が子として育てる「真面目で善良なパン職人」に遠藤憲一。ふたりの父親の間で揺れる娘役に、当時人気絶頂だった大橋のぞみ。一見、不釣り合いに見えるこの3人が織りなす切なさの化学反応に涙腺崩壊は必至。
前半の舞台・公園
周囲から白い目で見られる春男(阿部寛)と実の娘・さち(大橋のぞみ)が不思議な縁に導かれて親交を深め合う公園。初回から第5話までは不幸話が中心であったため、朝、昼、晩を問わず、毎回、この場所でふたりの距離が縮まり、春男の心が癒されてき様が感動的でした。夜の公園での出会いは特に印象的でしたが、残念ながら画像を見つけることができませんでした。
後半の舞台・パン屋
お互いの立場を認め合い和解する春男(阿部寛)と康史(遠藤憲一)。そして、第6話以降、康史は前科者で働き口のない春男を自身が経営するパン屋で雇うことになります。通常あり得ない展開ですが、ドラマはそれ以降、シリアス路線からコメディに急展開します。不器用で無口な前科者と真面目で無口なパン職人の噛み合わないトークに何度笑わされたことか。この鋭角的な振り幅もこのドラマの大きな特徴だったと思います。
「このまま終わるわけがない」不安が的中
やはり幸せな結末は待っていませんでした。最終回のラスト15分、かつて春男が殺めた男の息子がパン屋に押し入り、春男と勘違いして、康史をナイフで刺そうとします。康史を守るため、そして、加害者への贖罪のため、春男は刺され続け、意識を失ったまま、病院に搬送されます。会話のできない春男に、すべてを悟ったさちが「起きてよ、私のもうひとりのお父さん。おじさん!お父さん!」と叫ぶ中、春男は涙を流しつつ絶命します。あまりの急展開に息をのみました。
「義母と娘のブルース」を上回るメッセージ性
下図はカンテレHPの画像です。「血はつながっている。心はどうだ。」というコメントは阿部寛と大橋のぞみの関係を指していますが、「血はつながっていない。心はどうだ。」に反転させると、遠藤憲一と大橋のぞみの関係に平行移動します。「生まれか、育ちか」を深く考えさせられた名作です。ぜひ多くの方に視聴してもらいたいと願っています。
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