よくおごってくれる綺麗なお姉さん①_個人考察Labo#D
【よくおごってくれる綺麗なお姉さん 考察①】
原題:밥 잘 사주는 예쁜 누나
邦題:よくおごってくれる綺麗なお姉さん
英題:Something in the Rain
放送局:JTBC
以下、ネタバレありです。
はじめに
”よくおごってくれる”綺麗なお姉さん。お金持ちの話?ああ、財閥の話か?・・・という考えが頭の中をめぐる。しかし、日韓の習慣の違いに見識がある人はこうは思わないだろう。”おごる”という行為の重さは日韓において違いがある。韓国では何かの対価として”おごる”という行為が頻繁に行われるそうだ。つまり、おごるという言葉は我々日本人の感覚よりも軽い印象で使われる。そう、このドラマは決して現実離れした話ではない。お金持ちの世界の権力欲にまみれた話ではなく、普通の会社員の平穏な生活への欲を感じる作品。作り出されたよい雰囲気だからこそ現実が効いてくる、そんな特徴を持った作品といえるはずだ。
本論
語らずにはいられない”おしゃれさ”について
この作品は独特の雰囲気を持っている。一言でいえば、”おしゃれ”。ムード満点なこのおしゃれさが好きな視聴者も多いのではないだろうか。ではこのおしゃれさの要因は何なのか。要因は4点ある。
①映像美
言わずもがな映像が綺麗である。なんてことのない街中でさえも少し色味を抑えているのか、ノスタルジックに映る。そして夜の暗いシーンこそ明かりに注目したい。この明かりのさじ加減が映像美を生み出していると考える。
②OST
この作品のOSTは英語詞である。日本語を母語とする我々からすると、韓国語詞のOSTであっても同じかもしれないが、外国語のOSTであることで、セリフにより集中できる。つまり、OSTがより背景に溶け込むのである。歌詞がドラマにリンクすることでOSTとして効果を発揮するパターンもあるが、今回はOSTの曲調がドラマの雰囲気をよりよくさせることで効果を発揮している。
③セリフが少ない
このドラマはセリフが極端に少ない。意識してみると一目瞭然だが、セリフを発することなく、登場人物の表情や行動を追うシーンが多いのだ。これは日本のドラマにありがちなことだが、セリフ量が多いドラマは説明台詞などに分量の多くを割いているため結果として陳腐な印象を視聴者に与えることになる。このドラマは言葉を最小限にし視聴者に裁量を与えつつ展開していくため、視聴者はシーンから読み取る必要があり、各々解釈しつつ見進める。つまり、制作側の考えを押し付けられることがない=おしゃれ(、と認識してしまう)なのではないだろうか。セリフが最小限であっても話の流れは伝わる、という事を学ぶことができた作品であるともいえる。
④カット
映像の切り取り方についても特異点があるようだ。このドラマでは特徴的なカットが2つある。まず、遠くの視点から長時間映すカットである。人物を捉えるのではなく、街に溶け込んだ人々の人生を捉えるかのような視点のとり方だ。特にジナとジュニの2人の姿を遠くから映すことで、映像としての美しさがより際立ち、おしゃれさが感じられる。次に、スローのカットである。先ほどの特徴的なカットとは異なり、登場人物の表情を確実にとらえているカットであるといえる。スロー再生された登場人物のささいな表情の変化と余裕のあるOSTが相まって、そのシーンの美しさがより際立つカットとなっている。
結論
雰囲気づくりが素晴らしくうまい作品。映像だけを工夫して勝負するのではなく、音(OSTしかりセリフしかり)の足し算・引き算にまでこだわった演出が、独特の雰囲気を醸し出しているといえるだろう。なんとなくおしゃれな作品なのではない。細部にまでこだわることで徹底的におしゃれな雰囲気を作りこんでいる作品なのだ。
〈参考〉
https://news.jtbc.joins.com/article/article.aspx?news_id=NB11604773
この内容に科学的根拠はございません。
あくまでsisters laboの見解です。ㅎㅎ
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