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初恋(2)

初恋とはどれを指すのだろう?前回は幼稚園生の頃の話を綴ったが、これを初恋とは認めない人も居るだろう。所詮は幼稚園生で、恋愛感情というものもよく分かっていなかったはずだ。
初めて恋愛感情を持って好きだと思ったことを初恋と呼ぶならば、私にはそれもある。今回はそれを綴っていく。

それは私が小学3年生になった頃。とある女子と同じクラスになった。一目惚れだ。理由は今でも覚えていない。女子と話すきっかけもそうだが、好きな子に話し掛ける話題など考えつかない。私は長い間ずっと片思いをしていた。

片思いから変わったのは中学生になってからの話で、偶然にもその子と同じ運動部に入ることになった。私は友達に誘われてその部に入ることになったので、狙ってのことではない。同じ部とはいえ当然男女で練習は分かれていたが、練習場自体は同じで、同じ空間内に居ることを意識せざるを得ない。思春期真っ只中の男子中学生ではどうしても反応してしまうこともあった。これでは練習に支障も出る。

告白して気まずい関係になるのも嫌だったので、私は恋愛感情を別の感情に変えることにした。その子はその部活でも活躍していただけでなく成績も良く、私は勉強でのライバルの一人となった。テストの後に結果を見せ合い、順位を教え合う。好きだった子に酷い結果は見せられない。それが勉強のモチベーションになった。

その子とは高校も同じで、高校2年生になって文理にクラスが分かれた時、同じクラスになった。理系での成績上位者を集めたクラスだ。残りの高校の間も私はその子の好敵手であり続けた。
大学から先は会うことも無くなったが、私はその子にとっていい存在で居られただろうか?私は恋愛感情をいい形に昇華できていたのだろうか?今となっては好きだったことを打ち明けることも出来ないし、そうなってはその答えを知ることも出来ない。