教育実習での思い出

私は大学で教員免許を取得した。そして、教員免許の取得には大抵、教育実習が必要となっている。教育実習では単に教壇に立つだけではなく、昼食であったり、部活動であったりと、生徒と関わる時間はたくさんあった。その中で、生徒と話したことの中で覚えていることがある。

私は、朝の会で「完全数」について話した。奇しくもその日は6月28日。それならこれをテーマにするしかないと選んだのだ。ただ、話の内容としては、完全を目指すのは良いが完全になる必要は無い、という感じだった。その中で、偶数の完全数は、6、28、496、と続くと触れていた。
そしてその日の休み時間、ある女生徒が声を掛けてきた。私が例に出した数について、約数を調べて計算してくれたのだそうだ。そう、完全数というのは、その数自身を除く約数の和が元の数になる、という特徴がある。それも話していたので、本当にそうなるのか確かめたのだそうだ。
私はそこまでする生徒が居たことに驚き、
「じゃあ4ケタの完全数があるか、調べてみよう!」
と更にステップアップした内容の話をしたことを覚えている。ちなみに、4ケタの完全数は8128だ。我ながらかなりの無茶振りをしたと思う。

教育実習で生徒との関わりは多かったが、朝の会というさほど重要でない部分の言葉をしっかり聞いて、そこから進んだことまで考える生徒が居たということが、やはり一番の驚きだったと思う。先生は気軽に言ったことかもしれないが、生徒には深く刻まれることだってある。生徒の今後を大きく変えてしまう可能性がある怖さを、私は教育実習で学んだ。

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