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図形数の思い出

「図形数」と呼ばれる自然数を知っているだろうか?物を平面図形や空間図形の頂点や辺・面上に沿って並べることを繰り返して得られる数のことだ。
例えば四角数は、
1、4、9、16、25、……のように、正方形になるように物を並べた時に出てくる数だ。
同様に三角数は、
1、3、6、10、15、……のように、正三角形になるように物を並べた時に出てくる数だ。

正三角形と正方形の場合は問題にならないが、正六角形の場合は次の二つが考えられる。①最初の1つを隅に固定し、その場所を頂点とする正六角形を増やしていく場合と、②最初の1つを中央に固定し、その場所を中心とした正六角形を増やしていく場合だ。①は正五角形や正七角形など他の図形でも使えるので、六角数と呼ばれる。②は内部を埋め尽くす六角数と、①とは区別して呼ばれる。
なんでこんな説明をしたかというと、ちょっとしたエピソードがある。

それはとあるバイトをしていた時のこと。バイトのメンバーで話し合うため、全員が座るための席を並べることになった。人数が19人であり、19=1+6+12だと気付いた私は、
「内部を埋め尽くす六角数に並べたらちょうどだな」
と独りごちた。それをすぐ近くに居た人が聞いており、どういう風に並べるのか訊いてきた。これは困った。だが嘘は吐けない。正直に話すと、彼は
「じゃあ真ん中に座りますか?」
と冗談交じりに返してきた。私は当然断る。つい思い付いてしまっただけで、そういう方法にしたいと思っていた訳では無かったからだ。結局、その時は20個の席を用意することになったのだった。

物を並べる時に綺麗になるからといって、それはいつでも役立つとは限らない。話し合いなら長方形の周のような形が適しているだろうし、物の数を数えるなら10個毎のようにキリのいいと思える数を基準にした方がやりやすい人は多いだろう。
それでも、こういった知識は人生を豊かにすると思う。19をただの数だと思うのか、素数だと思うのか、6n+1型の素数だと思うのか等々。知識によって物の見え方は変わってくるものだ。

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