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私と自転車

私は子どもの頃、よく自転車に乗っていた。住んでいたのが田舎だったこともあり、友達の家も遠い。流石に北海道レベルではないが、同じ地区内で一番遠い友達の家ですら直線距離で1km以上離れていた。実際の道は直線では繋っていないので、道のりは概ね1.5kmといったところだろうか。小学生の足ではとてもじゃないが時間が掛かるので、自然と自転車をよく使っていた。

大学に入っても私は自転車を使っていた。不便な場所にある大学だったので、周りは原付や車を使い出す。自転車しか持っていない人は、実家からバスや電車を使って通う人を除けばごく少数だった。私は休日に自転車であちこちに出掛けており、一番遠くだと往復で100km近くを自転車で走ったことがある。ギアはあったが壊れていて、カゴも付いたママチャリで、だ。

いつしか私は原付に乗るようになり、普通自動二輪免許を取って、バイクに乗るようになった。そんな頃、職場でとある人と仲良くなった。彼は多趣味で、アニメやゲームなど様々な趣味を持っており、その中の一つが自転車だった。いや、正確に言えばロードバイクだ。ロード(road)とあるように、舗装路を走ることに特化した自転車。私は彼の影響でロードバイクに乗り始めることになった。

元々ママチャリで遠出していたこともあってか、ロードバイク初心者にしては異様な走りをしていたらしい。乗り方はロードバイクに合ったものでは無かったし、今でも正しいフォームは出来ない。しかし、ママチャリで鍛えた脚力と、元々体力が少ないからこその慎重な体力管理で、経験者ではないかと疑われる程だった。

それから何度か彼やその友人と一緒にロードバイクで出掛け、一度は大会にも出場した。ロードバイクは楽しく、二輪に乗るのが好きな私にもマッチしている。だが、趣味として続けるには避けては通れない道があった。それは私が極度の機械音痴だということだ。ロードバイクは色々なパーツからなっており、実質的には機械だ。私にはメンテナンスであったり、故障したときの対処法だったりを覚えることが出来なかった。

お互いに転職し、暫くは一緒に遊ぶこともあったが、今では疎遠になってしまった。今ではそのロードバイクは、部屋の中でほぼ置物と化してしまっている。故障するリスクを恐れると遠出など出来ない。私は私が機械音痴であることを恨まずにはいられなかった。