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試合に出るということ

今まで海外取材中に違法クラブで監禁されたり、

マフィアの事務所に連れ込まれて金を奪われたり、

拳銃を突きつけられたり、

パトカーに乗ったり、取調室で絞られたり

まあ、一般的にヤバイな!と思われるような事いくつもあったけど、そういう困った状況になればなるほどスーッと冷静になっていく胆力は空手の試合で得たものだと自分で思ってる。

 空手の試合に出る事に比べたら、まあ、取るに足らないことだよ。そんなもの。


どこかの誰かと何月何日何曜日、何時何分に、衆目の中で殴り合い蹴り合い、気を失うかもしれないし、死ぬかもしれないという状況を想像できますか?

どんなルールでもいいから、とにかく相手を直接殴って打ち負かそうとすることを目的とする競技は、人間の恐怖心を最高に刺激するものだと思う。


 俺は試合の2日前ぐらいから神経性の下痢になり、あまりの緊張と恐怖から嘔吐したりしたこともある。

特に試合場に上がる前までが本当に怖い。

 前日の夜、寝床でブルブル震えながら、明日地震になって大会中止にならないかな………。

とか思ったりするぐらいの感覚。

この怖さは体験しないと理解できないはずだ。

雑誌記者がいくら選手にインタビューしても、記者自身は実感としてこの恐怖を捉える事は出来ない。

真剣勝負の当事者のみが味わう感覚なのだ。

なので、こういう試合に出たりすること自体、褒められるべきものだと思う。

俺はその勇気を認めるし、尊敬する。

恐怖と闘う事が人間の核心部分に近づく方法だとも思っている。

夏ごろ出す予定のムック『ドラゴン魂』は、ここら辺の事を追及しようと思っている。

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