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芒種(ぼうしゅ)Seeding Fruition

芒種@曆

太陽を基準にする二十四節気で立春から8つ目の節気。
天球上の太陽の通り道である太陽黄経0度「春分点」から75度過ぎました。
次の節気は夏至です!

芒種とは芒(のぎ)のある穀物の種まきの時期。
芒は、米や麦などイネ科の植物の小穂の先端にある棘状の突起のことです。黄色く色づいた麦を収穫し、田植えを始める時期です。

1年を1日に例えると午前11時頃。午後のことも気になる頃かもしれません。梅雨の時期は、天気によって予定が変わったり、体調や気分も変化が大きくなりがちです。時々立ち止まって、上手に休みながら、疲れを癒し、夏の暑さへの備えや、秋以降に受け取りたい結果へ向けての計画を考えるのもよいですね。

芒種@七十二侯

初侯 | 第25候 螳螂生(かまきりしょうず)
螳螂が生まれ出る

カマキリが獲物をねらうとき、胸の前でカマをそろえて静止する様子から、 日本では「おがみ虫」、英名でも「Praying mantis(祈り虫)」と呼ばれることがあります。
動くものは何でも餌とみなして、0.3秒十言われるすばやさで獲物を捕らえるため、交尾のために雌に近寄る雄も命がけです。
秋に交尾・産卵された卵は、泡のような麩菓子のようなふわふわとした塊=卵鞘(らんしょう)で寒さから守られ、餌とするアブラムシなどの小さな虫が活動を始めるほど暖かくなると、薄皮を被った状態で100~300匹のカマキリの赤ちゃんがわらわらと2~3時間かけて生まれてきます。
脱皮を繰り返しながら、8~9月頃に成虫にまでなれるのは、そのうちの2~3匹だそうです。

次侯 | 第26候 腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)
腐った草が蒸れ蛍になる

梅雨時の湿気と暑さで蒸れた草から蛍が飛び始める頃。
中国の古い儒教の経典「礼記-月令」の中に「腐草為レ蛍」との記述があるように、昔の人は、蒸れて腐った草が蛍になると考えたようで、腐草(くちくさ)は蛍の別名です。
蛍は、水中や湿地で幼虫時代を過ごし、土の中でさなぎとなりますが、土を固めた繭は、土の塊にしか見えません。羽化して、発光しながら舞う蛍はとても美しく幻想的ですが、どこから現れたのか不思議な感じが一層神秘的で、腐った草が美しく生まれ変わったように見えたのかもしれませんね。

末侯 | 第27候 梅子黄(うめのみきばむ)
梅の実が黄ばんで熟す頃

カリカリ梅や梅酒には、かための青梅を使いますが、熟した梅は梅干し、ジャム、シロップ、ジュースにするとおいしいです。
柔らかく甘い香りでそのまま食べてしまいたくなりますが、梅の種や果肉には、種を守るため「青酸配糖体」という成分が含まれていて、生食すると、頭痛などの中毒症状が出るおそれがありますので、ご注意ください。

入梅(雑節)

二十四節気のほかに、季節を示す目印とされるのが雑節です。
田植えの日取りを決めるのに、梅雨入りの時期を知ることは重要なため、
「入梅」も雑節として暦に含まれました。

かつては芒種の後の壬(みずのえ)の日とされていましたが、現在は
太陽黄経80度の時とその日です。
「壬」の字は「妊」につながり、植物の内部に種子が生まれた状態として、十干の7番目に当てられています。
陰陽五行説で「壬」は「水の兄(え)=水性の陽」をあらわすので、成長を促す雨に恵まれるように、この日が梅雨に入る日として選ばれたのかもしれませんね。
ちなみに「水の弟(と)=水性の陰」は「癸」と呼びます。

「入梅」があるなら「出梅」もあってよさそうですが、現在は雑節としては定められていません。かつては「出梅」は夏至の後の庚(かのえ)の日とされていた暦もあったようです。
「庚」は同音の「更」につながり、植物の生長が止まって新たな形に変化しようとする状態として、十干の7番目に当てられています。
陰陽五行説では「金の兄=金性の陽」をあらわすので、恵みの雨を受けて成長した穀物の収穫に恵まれるようにとの願いも込められていそうです。

梅雨

梅の実が熟す頃の雨なので「梅雨」というのは納得しやすいのですが、黴(かび)が生えやすい時期だから「黴雨」(ばいう)が同音の「梅雨」に転じたという説もあります。
の実る頃なので「麦雨(ばくう)」、旧暦では5月頃なので「五月雨(さみだれ」などの別名もあります。

湿気の多い「梅雨」は、心身の不調も感じやすい時期です。
お天気で予定が変わったり、気分や行動にも変化が大きくなりがちで、ストレスを感じやすくなります。
上手に休みを取って、心身の疲れを癒したり、少し立ち止まって、潤いに満ちる美しい自然を愛でたり、温かいお茶をゆっくり飲んだり、生活リズムにも緩急のリズムを心掛けていきましょう。

中医学的には、「脾」に注意したい時期です。
「脾」は、食物を消化吸収し、栄養を全身へ送り、体内の水分代謝の機能をあらわします。消化が悪くなったり、食欲が落ちたり、身体がむくみやすくなったり、体がだるくなったり、疲れやすくなったり...といったトラブルを避けるために、消化のいい食べ物、食べ方に気を付け、冷たいものの取り過ぎ、体の冷えにも注意しましょう。

すでに紫外線は強いので、肌も疲れています。ニキビや吹き出物など、肌トラブルも起きやすいので、肌へのお手入れとともに、食事、睡眠などの生活面からもケアをしましょう。

心身に優しく、健康な状態で、軽めの運動で汗をかきやすい体を作って、
梅雨の後にやってくる真夏の暑さを乗り切る準備もしていきましょう。

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