広瀬章人 羽生善治戦 妖刀一閃 2018.11.01-02(竜王戦第3局)
一応、「棋力上達系」の記事をメインにするつもりだが、プロの将棋で感動した指し回しを紹介するコーナーもやってみたかたことの一つ。
今日は、広瀬章人現竜王の昨年の竜王戦から、終盤の切れ味が印象的な一局を見てみたいと思う。
【▲羽生善治竜王-△広瀬章人八段 ▲6四歩まで】
中盤。後手が先攻したが、例えば△6五桂は▲同銀△同銀▲6三歩成△同金に▲7二角の反撃がある。
先手は桂損が確定しているが、後手は歩切れなので、2筋を伸ばしていく分かりやすい攻めがある。
どうまとめるか難しい局面だが、ここで△2五歩▲同歩△7二桂が鍛えの入った手順。
先手は桂損で好形、後手は悪形ながらも桂得という主張のぶつかり合う難解な中盤戦になった。
その後は先手が駒損の猛攻を続け、後手玉に詰めろが掛かったのが次の局面。
【▲羽生善治竜王-△広瀬章人八段 ▲6二竜まで】
後手玉への詰めろ手順は▲6五歩△同玉▲4五竜△5五合▲5六金△6四玉▲6五銀△6三玉▲5四竜まで。
▲6五歩に△5五玉も、最後▲5三竜の形で詰む。
後手玉はかなり狭く、持ち駒は豊富だが先手玉は手つかずという状態。
詰めろを受けるしかないが、解説や棋譜中継で触れられていたのは、①△2六角と②△6三金の変化。
棋譜中継によると、広瀬八段の局後の感想コメントは、以下の通り。
①「△2六角は▲3五歩と疲れてしまうのが痛い」
※ソフトでは、△同角▲4五竜以下難解らしい
②「△6三金が予定でしたが、▲6二金があまりにも厳しい」
実戦の進行は△7五歩▲同歩△5八角▲4五竜△6九銀。
【▲羽生善治竜王-△広瀬章人八段 △6九銀まで】
ギリギリでしのぎ、一瞬で先手玉に詰めろをかける切れ味抜群の寄せが炸裂。
途中、先手にも手段が多く、難解かつ互角の終盤が続いていたが、広瀬八段らしい手順でいきなり勝負を決めてしまった。
実戦は以下、▲5三銀打△6三玉▲6五竜△6四金で受け切り。
中盤で打った悪形の7二桂も見事に働いている。
その後10数手で羽生竜王の投了となった。
その後竜王位を奪取した広瀬現竜王は、今は挑戦者に豊島将之名人を迎え防衛戦の真っ只中である。
らしくない終盤の見落としなどもあり、1勝3敗と苦しい星取りになっているが、第4局は持ち味の攻めの鋭さが随所に見られた一局だったように思う。
今後、本局のような終盤の妙技が炸裂する好局が生まれるのではないかと期待している。
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