【エッセイ】心の旅 3
――自分にとって魅力的な人物がいた。近所の古本屋の女店主である。
今はもう古本屋はやっていなくて、別のお店にかわっているけれど。その人は正直に言っておだやかで慎ましい、年上の女性である。自分はその人に安心感を感じた。
たぶん、他の人もそう感じているのだろう。
お店がかわっても、いまだにそのお店に通っていろんな備品を提供するくらいしたわれている。
ある時、自分はその理由を考えた。その人は言葉を選ぶ会話をする。
決して相手の嫌がることを言わない。というよりも相手のことは聞かない。
客商売の基本だと思った。
介護の資格を取得したことがあって、あれからしばらく時が経過した。
テレビを偶然つけていたら、相変わらずの介護職の離職率が高いという話をしていた。
現場を体験したことがあるから気持ちがわかる。
認知症患者はうるさいし、現場は汚いし、朝は早いし。そういう内容だった。
それを見続けていながら、これからの自分と社会との接点を気にしていた。
そもそも職は社会のためにある。社会の需要で職は生まれてくる。
アニメの質がかなり落ちた。
自分はそれを改善するために、次世代のアニメーション会社をいくつか選んで、勝手にチームを創ってシミュレーションしたことがあった。
昔はアニメーション会社は数えるくらいしかなかったけれど、今では小規模の会社がかなりある。ありすぎるくらいである。
その小規模な会社が、深夜アニメを制作している。見ているのはファンくらいである。かなりの閉鎖性であり、レベルを上げる機会が減ってしまっている。それが今のアニメーションの現状である。
企業経営の視点から見れば、一社独占のような構図が続いている。
それは、自分が子供の頃から知っているいくつかのアニメーション会社が、今でも、かなり影響力をもっているからである。
けれど、その会社はやっぱりアニメーションが上手い。
アニメーションなんてサブカルチャーの分野だと言っておきながら、しっかりと、この日本社会で市民権を得てきている。
それは素晴らしいことなのだと思うけれど、それでは競争が減ってしまうのだ。
ベテランのアニメーションであればあるほど、もう競争なんてしたくないと思っているのかもしれない。
歳をとってフルマラソンに挑戦するのはしんどい。
目上の人間は、どうしてこうも後継者を育てようとしないのだろう?
と、正直に考えた。
ある時に自分は、次世代の良きお手本になる会社を14社選んでみた。
彼らの競争が、次世代全体を刺激して、向上してもらえればいいなと自分は考えたのである。
我ながら身勝手な判断だけれど、この時程、自分の身勝手を、わがままを押し通した考えはないだろう。
まるで、自分自身のための人生ゲームであるかのように、自分はサイコロを投げたのだ!!
――人間はめんどくさいと思わせる社会を、なんで創ったのか? 畑を耕すだけの一生でいいと思っている。
けれど、これだけ情報化が進化してしまったら、必然的に資源戦争がおこるのは当然だ。
私たちは侵略することで文明を維持してきた。現在の地球人の人口は77億人である。
食料自給率を上げたら生態系が壊れるだろう。古今東西、文明の発展そのものが問題。文明の発展はチキンレースである。
だれにも止められない。
食糧難による飢餓をふせぐために、人類が火星に行けると本気で思っているらしい。
私達、知的生命体が地球に適応するのに40億年以上かかっている。
今でも、地球では新種が発見されている。
邪馬台国の場所すら特定できていない人類が、火星でどう生きるというのか?
未知の物質があって、それが無害とは限らないでしょう。
もっと言おう――
火星に移住して、世代を重ねて、人類はやがて宇宙へ向かうらしい。そういう計画があるという。
ところで、重力の影響を忘れてはいませんか?
火星の重力は地球のたった3分の1しかないのです。するとどうなるか?
生まれてくる子供は、慢性的なカルシウム不足である。なぜなら、遺伝子は地球で創られたものなのだから。火星の環境には適さないのは分かり切っている。
カルシウムが不足すると、脳はどう作用するかを知っていますか? 体重は3分の1で十分だけれど、遺伝子は地球育ちなのです。
例え、人間の意識で火星を受容しても遺伝子はそうはいかないのである。それに太陽との距離が遠いから、ビタミンDを生成できない。
でも、人類が火星で暮らすのはかなり無理があるけれど、人工知能を搭載したロボットなら可能だと思う。
ロボットには酸素はいらない。宇宙線からも簡単に身を守ることができる。
エネルギーは太陽光を、あるいは惑星の自転による地磁気から得たエネルギーを使えばいい。
サイエンスフィクションがもうすぐ実在化されるのかな?
宇宙から、地球を映しているのを見た。
授業で、宇宙の大きさを教えていたのを見た。
宇宙は、果てしなく広すぎた。
こんな広い宇宙を、旅することができたなら。
本当にね……
自分は、空を見上げて思った。
なんか、楽しいことないかな??
終わり
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