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城間トフル @34

トフルとは「天国に通る道」

津代のアナバリトフルも浦のノロ墓ツルカムイジョの墓も集落から離れた山の中腹、斜面にあったが、この城間トフルは山でもなく集落から離れてもいない。集落の中のこんもり盛り上がった小高い丘の斜面を利用し、横穴式の広い穴を掘って造られた墓だ。

横穴までの5mほどの道の両サイドは珊瑚石で固められ、そして穴の入口も珊瑚石でできた扉が立てられ蓋をしている。こんなトフルがこの丘の半径100m以内に9個残っている。
 

1号2号はトタンで覆われていたが5号トフルは珊瑚石の蓋がむき出しになっていて、そのズレた蓋から中が覗ける。おそるおそる中を覗いて見ると・・人骨があった。真っ白になった人骨と頭蓋骨が無造作に置かれている。まさか本当の人骨じゃないだろう、と思いつつ、やっぱりカメラを向けるのははばかれたので写真は撮らなかった。

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8号9号はやや広めの敷地に並んでいた。ガジュマルの根っ子の下に隠れたように穴が掘られている。もはやトフルとガジュマルが同化しているようだ。もうひとつのトフルも蓋がないので中を見ることができたが、中は何もない空洞だった。戦時中このトフル群は防空壕にもなっていたそうで、その時に遺骨はどこか別の場所に保管したのだろう。振り向くと真新しい石碑があり「泉家旧墓地」と書かれていた。まさか、ここは僕の遠い先祖の墓か・・いや、あり得ないこともなくはなくもなきにしもないかもしれない、こともないかもしれない・・

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アナバリトフルと違い人里近いせいか、この城間トフル群はなんだか生活臭が感じられる。あやまる岬の「歴史民族資料館」で話を聞くことができた。あのトフルは今でも各トフルの一族が大切に保存し祀っているらしい。500年ほど前にできたと言う説もあるが詳しい年代は一切わからないという。そして、あの5号トフルの人骨もどうやら本物だそうだ。もう一度5号に戻り手を合わせてきた。

天国に通る道。天国なんてあるんだろうか。あるとしたら500年のあいだ大切に祀られているこの穴の中こそ天国なのかもしれない。



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