マガジンのカバー画像

わんとワンの物語

19
物語がどう紡がれていくのか書いてる自分自身にもわからない。
運営しているクリエイター

記事一覧

固定された記事

わんとワンの物語 0

年の瀬も迫った12月のある日、港湾センターに5匹の仔犬が産まれた。茶犬が3匹、黒犬が2匹。こ…

泉 順義
3年前
2

わんとワンの物語 18

かなしくなるとここへ来る。 この島が嫌いになるたびにいつもこの丘へ来る。 ミナミから車を…

泉 順義
3年前
5

わんとワンの物語 17

私が水の宇宙で掬ったのは奄美大島の記憶でした。それはとても愛しい記憶でした。

泉 順義
3年前
1

わんとワンの物語 16

こんにちは。わたしはワン6号。わたしはカナシミの海から創られました。 わたしはこの宇宙に…

泉 順義
3年前
1

わんとワンの物語 15

5匹のワンたちは総てわんから旅立った。一番強い感情を探しにたくさんの宇宙に旅立った。果た…

泉 順義
3年前
2

わんとワンの物語 14

ぼくたちはさらに南下する。長い雲のたつ峠を越え茶にそまる峠を越え、下降する。そこは大きな…

泉 順義
3年前
3

わんとワンの物語 13

すべてはこの地アマンディから始まる。アマミコの創った紺碧の空と海があり、そしてぼくの創った真っ赤なティダとティキがある。ふたりは南下しながらその次に大地と営みを創ることにした。 緑をイメージする。高い丘にたくさんの緑を配置し、小さなイノチの宿るだろうガジュマルの樹とディゴの樹と、イノチを繋ぐだろう蘇鉄とバシャを置く。こんもりと繁ったこの森を下ったところがミャーだ。やがて産まれ落ちる新しい生命がここにアシャゲとトネヤを造るだろう。アシャゲで祈りトネヤで踊り、生命はさらに海に下

わんとワンの物語 12

「おまえは1号だから一番先に旅立たなければならない」と、ワン父が言った。でもわんはまだこ…

泉 順義
3年前
2

わんとワンの物語 11

最近ワン1号4号5号が見あたらない。いるのはガンたれ小僧の2号と3号だけだ。そしていつも…

泉 順義
3年前
3

わんとワンの物語 10

ぼくたちはこの丘から南へ創造の旅にでる。「シニレク、あなたは赤を創って。わたしは青を創る…

泉 順義
3年前
4

わんとワンの物語 9

わんが水の宇宙で掬ったキオクは、この宇宙の500年にわたる他の宇宙からの繰り返される侵略と…

泉 順義
3年前
2

わんとワンの物語 8

わたしは一番末っ子で一番小さいから5号なのだそうです。わたしは小さいのでこの塀を越えるの…

泉 順義
3年前
3

わんとワンの物語 7

ぼくのはじまりは天から落ちた一滴の雫だった。たくさんの一滴がばらばらに飛び散り、ぼくたち…

泉 順義
3年前
4

わんとワンの物語 6

1号は一番大きいのですぐわかる。でも2号3号だけは大きさも毛色もそっくりなので未だに見分けがつかない。それにこの2号3号にわんは相当嫌われているらしく、来るたびにいつもこの二匹からガンを飛ばされる。それでもわんが頭を撫でようと手を伸ばすと・・2号に指を噛まれた。いや、3号だったかも。 1・2・3号までは男の子で、黒毛の小さい4・5号の2匹がたぶん女の子だ。一番小さい5号は、いつも兄ワン姉ワンの後を追いトコトコとくっつき回っている。5号はわんが来ると澄んだ目で5秒間だけわんを