★国語教師(33)

大学を出て私立学校の国語教師になり毎日毎日生徒のための教材を探す生活を延々と続けて来ましたが改めて思うのは「この世には素晴らしい文章を書く人がたくさんいるんだな」ということです。授業の都合であまり長い文章は使えませんが。

一方、読書愛好会は本好きの生徒が集まっているため様々な長編と親しむことができます。生徒がレビューした本はだいたい図書館に置いてあるので読んだことがない作品は必ず読みますよ。

学校の教師というのは一般企業の社員と違い、自分の仕事を細かく日常的に上司にチェックされ、たまに叱責される、というのがほとんどないんですよ。校長など管理職の人たちが授業を見学するときだけ気合いを入れればいいんです。つまり、サボろうと思えばいくらでも手抜きできます。基本、密室ですからね。50分の授業で40分ビデオを見せて自分は教室の後ろで休憩してる、とか(笑)

作文の宿題など、決して出してはいけません。一学年200人ですからね。もし原稿用紙二枚という宿題を出したらたいへんなことになります。一名30分かけて読んだら30×200=100時間ですよ。寝る時間がなくなってしまいます。どうしても飛ばし読みになってしまいますから真面目に作文に取り組んだ生徒に申し訳ない気持ちになります。

なので僕は作文の宿題を決して出しません。そもそも宿題を出しません。

石上先生は宿題をたくさん出す先生ですね。宿題を忘れると激しく叱責されます。教室で立たされ延々と説教です。まるで公開処刑だ。

まあ世の中、いろんな先生がいるわけです。僕はどちらかと言えば精励勤務教師とは言えないでしょうね。授業中、居眠りOKだよ、と言う教師は滅多にいませんからね。

まあ、適度に手抜きをしながら今まで15年以上、のらりくらりとやってきたわけです。本を読むのが大好きなので国語教師というのは天職みたいなものです。仕事中、自由に本が読める職業なんて、滅多にないですよね。

部活の顧問も非常に楽です。運動部の顧問になってしまうと土日が完全になくなりますが幸い、読書愛好会は他校との交流もなく顧問の仕事はほとんどありません。話し合いで「次はこの作品」と決まったら図書館の係員にお願いして購入手続きをすればいいだけです。

我が家で一番本を読むのは長男の長太郎ですね。毎週五冊ぐらい読んでいるんじゃないですか。僕も睦美も子供に「本を読みなさい」と命じたことなど一度もありません。家の中にたくさんの本があり、僕らが日常的に本を読んでいる姿を見て彼らは育ったのです。

たくさん本を読んだからと言って必ず幸せになれるわけじゃありません。いろんな知識が増え、かえって不幸になるかも。(笑)

読書というのはこの世に数多く存在する趣味みたいなものです。運動を趣味にすれば肉体が鍛えられ、読書を趣味にすれば知能が発達します。それだけの話ですよ。

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