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実はお金になる! 医師の副業におすすめの意外なあの仕事

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広がりつつある?医師の副業

 こんにちは、Dr.心拍と申します。普段は勤務医として働いていますが、時間外や休日の隙間時間を生かして「ライター」としても活動しています。

 この連載では、医師として勤務しながらどのようにライターとして活動するに至ったか、どんな苦労ややりがいがあるのかなどを、読者の皆様に共有させていただきます。医師の副業として「ライターもありかも?」と思ってもらえたら幸いです。

 さて、大手企業を中心に、副業は社会人の「当たり前」になりつつあります。医師は違う…と感じるかもしれませんが、実は、医師の場合は周囲に隠してこっそりとやっている人も多いため、医師の副業もかなり広がっているのではないかと感じています。

 今回は、副業に興味があるけれど何をやったらいいかわからない、そんな読者の皆様にお伝えしたい、医師の副業におすすめの仕事をご紹介します。

医師の副業、王道は「ライター」
文字だけでなくイラストも!

 ■おすすめ副業1:ライター
 医師が行う副業の王道とも言えるライター業。そもそも医師は学会発表や論文作成など、日頃から比較的執筆になれているのではないかと思います。

 また、本業の知見がライターとして生かされるだけではなく、執筆することで文章の書き方が上手になり、論文作成時に冗長な表現などを避けて、査読者にも良い印象を与えられるようになるかもしれません。

 そして執筆時にあらためてリサーチするので、自然とガイドラインを読み返したり、論文検索を行ったりということにつながり、本業にも役立ちます。

 ■おすすめ副業2:メディカルイラストライター
 外科系の先生は手術の際にオペレコの記載をするかと思いますが、そこに術中所見などのイラストを描いていらっしゃるのを見かけます。解剖学的な知識がないと書けないですし、非医師がそれを描こうとするのはなかなか至難ですよね。

 そんなお仕事あるの?と思うかもしれませんが、例えば一般の方に向けた病気の解説など医療的な記事には、テキストだけではなく図解やイラストもあわせて掲載されていることがよくあります。

 以前医療コンテンツの作成時に、疾患の説明に加えるためのイラストをプロのイラストレーターに描いてもらったことがあるのですが、解剖学的にはありえないイラストになってしまい、結局ボツとなったことがありました。

 いつも当たり前に書いているあのイラストも、実は外部から受託して書くとけっこういいお金に。やはり専門知識が必要ですもんね。私はまったく絵心がないのですが、普段仕事でやっている!という先生にはおすすめです。

SNSの「中の人」が、実は医師かもしれない

 ■おすすめ副業3:SNS運用
 いわゆるインフルエンサーとして、医師でもフォロワー数が〇万人なんていう方もいらっしゃいますよね。

 実はそんな医師が、こっそり外部企業の公式アカウントの「中の人」や、医療系メディアの発信者になるなど、SNS運用を請け負っているということが意外とあるのです。実生活で「やっています」という方に出会うことはそれほどいないと思いますが、Xの相互フォロワーさんの中にもちらほらいます。

 また自分自身も、医療系企業の中の人としてSNS運用を何度か請け負ったことがあります。医療系内容を発信するには専門知識が求められますし、何か間違いがあった場合はそのアカウントを運営している企業に大きなマイナスとなってしまいます。

 医師ライターが必要とされるのと同じような理由で、こうしたSNS運用にも一定の需要があるのです。

 自分のアカウントでSNSをこっそりやっている医師も多いですが、発信をするのが苦ではない人にとっては、日常やっていることがお金になるという点で、良い選択肢ではないでしょうか。

医師のことは医師が一番知っている

 ■おすすめ副業4:コミュニティ運営
 医師、起業家、クリエイターなど、特定の職種の人たちが集まって交流し、知り合いを作ったり情報交換をしたりする「コミュニティ」と呼ばれる会が、昨今たくさん登場しています。企業が運営し、参加者が会費を払って定期的に集まったりオンラインで交流したりするのが一般的です。

 例えば企業からの、医師の交流を促すコミュニティを盛り上げたいという依頼に応じて、会の管理側として医師コミュニティを運営することも一つのお仕事になります。

 その際、勉強会のテーマを考えたり、その会によって診療科別、年代別など、適した参加条件を設定したり、参加者を増やすためにはどのように医師にアプローチしたらいいかというアイディアを出すのも喜ばれます。

 非医師だとなかなかわからない医師の考え方、好き嫌い、ライフスタイル、興味がある話題など、そうした知見が求められるコミュニティ運営は、医師の副業に向いている仕事の一つといえるでしょう。

顔出しなくても情報発信はできる

 ■おすすめ副業 番外編:VTuber

 バーチャルYouTuber、すなわちVTuberというお仕事もあります。VTuberは、2Dや3Dのアバターで活動しているYouTuberです。

 なんのこっちゃと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、要は自分の顔を出さずに、創作したイラストのキャラクターなどが動いて話しているような形で、いろいろな情報発信をする人たちです。

 筆者も初めて見たときは驚いたのですが、実際に今、医師のVTuberは次々と登場していて、さまざまな医療系のお悩み相談に回答したり、医療問題の解説をしたりして人気を集めている人もいます。

 現役医師にとって、顔出しせずに情報発信できるというのは大きなメリット。炎上などにより実生活に影響が出てしまうのが怖くて、伝えたいことを伝えられない…という方にはおすすめです。

 医師の本音を交えたトークなどは見ごたえがありますし、キャラ設定なども自由にできるので、自分にあったキャラを作り、情報を届けたい視聴者に合わせた運用が行いやすいと思います。

副業と本業が相互に好影響

 さて、いくつかの副業をご紹介しましたが、総じて、文章を書く、絵を描くなど自分の得意なこと、普段仕事でもやっていることの延長でできるものが、大きな労力を割かずに行えるのでおすすめです。

 元々自分の場合、医師バイトは時間を切り売りするように思えてしまい、あまりやりがいを感じることができませんでした。もちろん医師バイトで医師としての経験を積み、医療現場に貢献をして素晴らしい仕事をしている方も大勢いらっしゃると思うので、あくまで自分の場合は、になります。

 一方で、現在行っている医師ライターという副業は、本業にも役立ち、やりがいをもって取り組めたという点が、続いている大きな理由です。本業が副業に、副業が本業に、というような良い循環を生めることも大きな理由です。

 それだけでなく、うまくやると副業は大きな収入を得ることが十分可能です。拘束時間を自分の都合で調整しやすいのもメリットの一つです。

 社会全体では、副業をしている人は10年前に比べて4割以上も増えているということです。また民間のある調査によると、スタートアップでは7割、大企業でも4割が副業可だったそうです。
参考
急増する「副業者数」の分析~けん引役は高齢者~/第一生命経済研究所
“従業員の副業認可”の実態を企業規模別に調査。大企業の約4割が副業を認める一方で、本業のパフォーマンス低下を懸念する声も/HRプロ

 医師の世界はそこまではいかないと思いますが、キャリアも多様化する時代、今後ますます増えるのではと思っています。

職場の規定と税金関係は要注意

 最後に、副業には注意も必要です。国公立の病院は原則副業(兼業)禁止、それ以外の病院でも就業規則でNGのところもあるようです。

 一方で製薬講演会の登壇や、医学書や医学雑誌の執筆などは問題ないという話も聞きます。最初からダメとあきらめる前に、勤務先に確認が必要ですね。

 そして、確定申告も忘れずにする必要があります。特定の病院のみの勤務だと職場で年末調整なども行ったりしているかと思いますが、外勤などに行くようになると確定申告が必要になります。

 また、副業によって得られる雑所得も申告が必要になりますので注意しましょう。

まとめ

 今回は医師の副業におすすめの仕事を紹介しました。
 社会全体では増えている副業。将来は医師にとっても当たり前になるかも…?

 それではまた、ライターとしての活動をご紹介させていただきますね。

【著者プロフィール】
Dr.心拍 解析・文 (Twitter: @dr_shinpaku)
https://twitter.com/dr_shinpaku
呼吸器内科の勤務医として喘息やCOPD、肺がんから感染症まで地域の基幹病院で幅広く診療している。最近は、医師の働き方改革という名ばかりの施策に不安を抱え、多様化する医師のキャリア形成に関する発信と活動を行っている。また、運営側として関わる一般社団法人 正しい知識を広める会の医師200名と連携しながら、臨床現場の知見や課題感を生かしてヘルスケアビジネスに取り組んでいる。
各種医療メディアで本業知見を生かした企画立案および連載記事の執筆を行うだけでなく、医療アプリ監修やAI画像診断アドバイザーも行う。また、ヘルステック関連スタートアップ企業に対する事業提案などのコンサル業務を複数行い、事業を一緒に考えて歩むことを活動目的としている。


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