見出し画像

No.6【ネタバレあり】山の民と人の因縁

今日の話はコミックス第3巻からであるが、嬴政(えいせい)が山の王楊端和(ようたんわ)に玉座奪還の戦いに加勢してもらう依頼をする。

画像1

挿絵は3巻から引用。

山の民と秦には因縁があり、民は猛反発する。過去の因縁による憎悪から嬴政は捕らえられ、殺されそうになりながら、信と共に力を貸して欲しいと訴えるのだ。

人同士、組織同士の因縁

さて、人とコロナウイルスとの戦いを難しくしている要因に人同士、組織同士の因縁がある。それは長い歴史の中で醸造されたものであり、困難を前にしたからといって直ぐに手を取り合いましょうとはならないのだ。

病院、医師会、市町村、大学、住民、福祉事業所と様々な組織や個人は平時の因縁を引きずってしまい、中々協力関係になるにはハードルが高い。

もちろん、会議の場には出るだろう。
ただし、誰かが血を流した時に自らの損得を抜きにして守り合えるかというと、そうはいかない。例えば、大地震が起きて大津波が来たとしよう。そうするとみんなは手を取り合うだろう。ところがコロナが難しいのは通常業務からコロナ対策への切り替えである。

全ての機関でコロナ対策は、通常業務を維持しながら進められている。病院は診療報酬を得ながら職員に給与を払い、地域のために貢献し続けることを求められるのだ。

平時の業務が混ざるということは因縁が混ざるということである。

コロナで医療が崩壊するから、力を貸して欲しいと言っても、個人事業主などは特に自分の身を守ることで精一杯になるし、そんな中で自分の身を削ってまで周りを守ろうとするだろうか。

地域単位、都道府県単位で連合軍を編成しないと勝てないことはキングダム好きならイメージできるであろう。ただ、中華の将軍たちのように個性はどうあれ王の命令でどんな組み合わせでも連合軍を編成できるかというと現実は難しい。

では、どうしたら因縁を乗り越えて協力を得ることができるか。

嬴政が楊端和に助けを求める時にどうしたか。そこにヒントが隠されているように思う。

1、まず自らの組織への因縁と向き合い、非があれば認め、謝罪する。
2、争いは仕方がないことで、根深い問題であることに触れる
3、争う前にやるべきことがあると提示する
4、自分のやろうとすること(中華統一)が互いの夢(楊端和は『世界を広げたい』が夢)を叶えることになるのだと説明する。
5、相手側(秦に憎しみをもつ老人たち)から反対される
6、味方側(信)が訴える
7、再度自分の進む道が相手にとっても夢を叶える道であることを伝えて、お願いする。
8、同盟が成立する

このやり取りの中で、周りの意見は大きく影響はないと思われる。

やはり、因縁を真正面から捉え、相手を尊重しつつも、争いを越えた目標を提示し、それが相手にとってもプラスなのだと伝えることが必要なのだろう。

コロナだから協力しろ、では因縁をもつ相手を仲間に引き入れることはできないだろう。
そこは組織のリーダー達の志と説得力にかかっているし、もし、自分の組織のリーダーが苦手な場合は自分が信の立ち位置に行って援護をするのもありだと思う。

人の心を動かせるのは人の心だけだと昔医学生の時に先輩医師から教わったことを思い出した。

楊端和を仲間にしたことで、キングダムは4巻以降に進めたのだ。それ以降も山の民は何度も活躍する。目の前に因縁のある相手がいたらそれは自分たちにとっての楊端和かもしれないと捉えてみたらどうだろうか。

仲良しだけの連合軍では歴史は動かないのかもしれない。

Dr.RISHIN


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?