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ママを呼ぶ声

他の部屋の母を求めて泣く声にかならず起きる我は母なり

ママ、お母さん。

わが子たちからだけでなく、生活の中で他所様からも母と呼ばれるようになって、幾年か。
最初は『え!ママって私のこと?!』といちいちギョッとしていた私も、今や特に何も感じなくなってしまったが。

『ママー……』

という幼子の声には、ものすごく俊敏に、どんなか弱い囁き声でも、反応してしまう。

おもちが入院するこども病院、基本的に付添の必要のない完全看護の病院である。
明け方ごろ、ふと目覚めて心細くなった子供たちの、『ママ』『パパ』『おかあたん』が聞こえてくる。

そのたびにふと起きてしまう。

とりあえず息子を確認すると、父譲りのどこでも眠る才能を持つ彼は、グースカピーである。

ああ、ほかの部屋で、親御さんを呼んでいるのか。

みんな、大丈夫大丈夫、もうすぐ、朝よ。

直接行くことは出来ないけれど、心の中で手を握り、背中をさすり、祈るような気持ちで過ごす。

子どもたちが、痛いことや怖いこと、苦しいことがなるべく少なく、温かく穏やかに過ごせますように。

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