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高い柵、いのちの物語

高い柵 硬いベッドの それぞれに いのちの物語が 刻まれる

こども病院に、ずらりと並ぶ高い柵のベッド。

入院する理由はさまざまだが、ベッドはこどもたちが一日の大半を過ごす場所である。
おもちゃ、絵本、ガーランド、可愛らしいタオルケット。
病院のルールの中で、思い思いに飾られたベッドは、子どもたちの部屋であり、世界であり、家族の夢や希望がぎゅうぎゅうに詰められている。

おもちもかつてこども病院に『住んで』いた身であるが、

『暑がりだから扇風機つけましょ』
『ハリネズミのアコーディオンぶらさげましょ』
『鏡見るの好きだから柵につけてみましょ』
『おねえちゃんたちの写真貼りましょ』

とどんどんベッドが派手になっていった。
おもちのベッド、おもちの世界、『おもち号』である。

ここ1,2年入院がぐんと減り、入院してもベッドを飾ることはなくなったが(おもち的にはタブレットがあればそれで満足なのもある)、病棟で子どもたちの色とりどりのベッドを眺めながら、

『みんなのおもち号、素敵だなぁ』

と、それぞれの物語に思いを馳せ、子どもたちがなるべく痛く苦しくなく穏やかに過ごせるよう、静かに密かに応援するのである。

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