ちょっとハナにつく出来杉くんを大人しくさせた一言

私が中学受験大手の塾で5年生の最上位コースの算数を教えていたときのことだった。主に問題演習の授業だったので、みんなそれぞれ元気よく自分が考えた解法を発表してくれて非常に活気があった。
そんな最上位のコースの中でも特によくできる男子生徒がいた。ただ少々自慢気なとこが出すぎていたり、周りの子を小バカにする態度もあって、算数がそこまで得意でない子がややうんざりした表情をしていた。そして本人もその空気を微妙に察知している気配もあった。
小学生なのだから、できることを自慢したり誉めてもらいたいという想いが露骨に強く出ることもあるだろう。そのときちょっとぐらい周りへの配慮が行き届かないこともある。
そんな空気の中で、私も驚くような解き方をその生徒が見せてきた。その驚きを素直に伝えた。「おまえすごいな。これはびっくりした。やるなー。なるほどねえ」そして確認テストで出来のよかった子に配る、塾内で景品交換できるシールを何枚か渡した。本人はそこまでまっすぐ誉められたことに少しびっくりした様子で、同時に満足げな表情に切り替わった。その切り替わる数秒の間をおいてから彼の肩に手を置き、「よーし、では王者の貫禄を見せるんだ」と語りかけた。
能力、実力を認めてもらえたのだから「もうつまらないことを言う必要はない」頭のいい彼は自分で気がついたようだ。それ以降彼が授業中に余計なことを言うことはなくなった。
その後、彼は「順当に」理Ⅲに進んだようだ。何の分野でもいいので、彼の良さを活かして活躍してもらえたらと思う。
たまたまうまくいった一例にすぎないが、よかったら参考にしてほしい。

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