John Handy – Recorded Live At The Monterey Jazz Festival (1966)
John Handyによる『Recorded Live At The Monterey Jazz Festival』は、広大なジャズの宇宙でひときわ輝く綺羅星のような傑作であり、かのRalph J. Gleasonを虜にしたことで有名になったアルバムでもある。Handy自身のディスコグラフィーの中でも生涯の名演と言っても大げさにならない出来の一枚だが、本作が録音された1965年当時は、バイオリニストMichael WhiteとギタリストJerry Hahnのほか、Don ThompsonとTerry Clarkeという二人のカナダ人プレイヤーを含むメンバー全員がまだ若く無名に近い存在だった。
Handyがモンタレー・ジャズ祭で注目を浴びたのは実は本作が初めてではなく、前年のCharles Mingusのステージにおける壮絶な「Meditations On Integration」が大きな話題を呼んでいた。本作はぞくぞくするようなエレクトリック・クインテットとスピリチュアルで荘厳な雰囲気を湛えるサックスの独奏で構成されている。Mingusが率いた総勢11名による大合奏とは編成が対照的だが、本作の先進性と通ずるところがあるのは明らかだ。
「If Only We Knew」の前半部でHandyはAl Hirtのような超絶技巧を見せつつ、たった一人で会場の空気を支配する。後半部のクインテットの演奏はモーダル・ジャズのお手本とも言うべき神秘的なパートだ。「Spanish Lady」だはHahnのフラメンコを思わせる情熱的なギター・ピッキングと、後のThe Fourth Wayの作風を予感させるWhiteの呪術的なフィドルが、それぞれHandyのブロウと化学反応的な熱量を生み出していく。