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Paul Jones – My Way (1966)

 ソウルとブルースを追求するために1966年にManfred Mannを脱退したPaul Jonesは、最初のソロ・アルバム『My Way』ではそれを叶えることはできなかった。当時の彼の強いブラック・ミュージック志向は、「Sonny Boy Williamson」(Jack Bruceのベースをフィーチャーした傑作である)のようなアルバム未収録のB面曲を聴くことで、初めてうかがい知ることができる。JonesはEMIの用意したポップ・ソングを歌わされるプロダクションにこそうんざりしていたが、その事実は『My Way』が優れたアルバムであることと矛盾してはいない。
 Manfred MannでのJonesの活躍を知っている人なら、「It Is Coming Closer」や「I Can't Hold On Much Longer」といった自作曲からにじみ出る力強いソウルの滋味に気がつくだろう。タイトル・トラックではクライマックスの見事な歌声が、まるで後のFrank Sinatraの同名曲を予見するかのように堂に入っているのが興味深い。
 アトランティック・ソウルの「When My Little Girl Is Smiling」は実にロマンティックで、無邪気な「Lady Godiva」もJonesのボーカルにかかれば十分な聴きごたえのある歌に仕上がる。彼の最初のヒット・シングルとなった「High Time」は、アップ・テンポなビートと美しいストリングに彩られた見事なポップ・ソングだ。
 Jonesを徹底的にポップ・シンガーとして売り出すのがEMIのやり方●●●だった。90年代に出たRPMのリイシューには前述の「Sonny Boy Williamson」などが追加収録されたため、Jonesのソロ歌手としての真価はより明快になったといえる。