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David Bowie – Stage (1978)

 1978年に『This Year's Model』を発表してアメリカをツアー中だったElvis Costelloは、マディソン・スクエア・ガーデンでDavid Bowieのステージを目撃していた。レコードよりも数段ワイルドな演奏に圧倒された彼は、その大きな要因の一つにギタリストAdrian Belewの個性的なサウンドがあったのではないかと回想している。
 全体にミニマル・テクノとエクスペリメンタルがちりばめられているが、アルバムのジャンルをロックたらしめているのはBelewのテクニカルなギターだ。「Stay」ではRoger Powellのシンセサイザーと対照的な激しさをたたえた壮絶な演奏を聴くことができる。ほかにも神経質なファンク・ナンバーである「TVC15」や、Joy Divisionに決定的な影響を与えたダーク・アンビエント「Warszawa」など、『Stage』は実験精神にあふれたベルリン3部作発表直後のBowieの真骨頂を見事にとらえているが、Costelloを感動させたのはまさしくこのサウンドなのだ。
 ほかにも荘厳なハード・ロックに生まれ変わった「Ziggy Stardust」など惹かれる曲は多いが、The Doors版の「Alabama Song」のように珍しい選曲もある。この歌はスタジオでより型破りなバージョンが録音され、1980年にシングル・カットされている。