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Jessi Colter – I'm Jessi Colter (1975)

 Jessi Colterは60年代に本名のMirriam Johnsonとして、そして70年代の初頭に現在のステージ・ネームで二度レコード・デビューを果たしており、それぞれ当時の夫であったDuane EddyやWaylon Jenningsの厚いサポートを受けてはいたが、商業的に成功とは言いづらかった。彼女のボーカルと歌作りの才能が真に爆発したのは1975年のことで、幸いなことにそれまでの不遇が余裕で帳消しになるようなアルバムが完成した。
 全編がオリジナルで構成された『I'm Jessi Colter』は、The Memphis Boysのメンバーを擁したスタジオ・ミュージシャンたちの南部風のサウンドが前面に出ている。オープニングの「Is There Any Way (You'd Stay Forever)」では重厚なブラスが、「Love's The Only Chain」ではこれまたファンキーなベースがColterのボーカルをひき立てる。「For The First Time」や「Who Walks Thru Your Memory (Billy Jo)」はギターが心地いいストレートなカントリー・ナンバーで、アルバム全体としては当時の流行だったスワンプ・ロックの要素をふんだんにとり入れた仕上がりだ。
 Colterの評判を一躍高めたのは、シングルとして大ヒットした「I'm Not Lisa」で、あまりにも切ない女心を歌った歌詞が受け、アメリカやカナダのカントリー・チャートでトップに上った。「What's Happened To Blue Eyes」も同様にヒットし、81年にJenningsが素晴らしいカバーを披露している。
 『I'm Jessi Colter』は今でもカントリー・ポップの重要なアルバムのひとつであり、Colterが優れたSSWであることを明らかにした一枚である。