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Temples – Sun Structures (2014)

 Roger McGuinnが奏でているのかと思ってしまうような「Shelter Song」のギター・イントロが、イングランド出身の4人組バンドから届けられたのは2014年の大きな事件だった。Templesは〈60年代のデッドコピー〉という短絡的な誹りを全く恐れることなく、古典的なメロトロンやオルガンのメロディと、現代的で重厚なリズムラインを密接に絡めたサイケ・ポップを作った。彼らにはそれだけのガッツがあった。
 インパクト大のオープニングからスリラー映画の主題歌となった「Keep In The Dark」までは、まるで40年以上も時空を飛ばされたかのように感じるだろうが、目の覚めるような「Mesmerise」のイントロが流れた瞬間に、リスナーはそれが錯覚だったことに気づかされる。ギターでボーカルのJames Bagshawは、Tame ImpalaやThe Flaming Lipsといったネオ・サイケの先達バンドよりも保守的なアプローチをとっており、「A Question Isn't Answered」のあいまいな歌詞と催眠を誘うようなコーラス・ワーク、やや東洋風の「Sand Dance」などにそれが表れている。
 『Sun Structures』はアメリカでのチャートは振るわなかったものの、本国の週刊インディー・チャートでは2位にまで食い込んだ。次作『Volcano』は本作からは方向転換を図り、よりシンセサイザーに重きを置いたサウンドを追求していくことになる。