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Carlos Santana & John McLaughlin – Love Devotion Surrender (1973)

 ますますスピリチュアルにのめりこんでいったCarlos Santanaと"Mahavishnu" John McLaughlinは、インドの宗教家Sri Chinmoyに共に師事し、本作のようなインドの哲学や宗教観に根差した作品を数多く発表していく。だが彼らの音楽家としての最上の模範はあくまでもJohn Coltraneであり、冒頭の「A Love Supreme」のカバーなどは、二人のギタリストが向かいあって荘厳な演奏を繰り広げるが、それは対話というよりは宗教的な問答を交わしているかのようにも聴こえてくる。
 ミュージシャンはSantana BandのArmando Peraza、Doug RauchやMahavishnu OrchestraのドラマーJan Hammerといった身内のほか、フュージョン界最高のプレイヤーであるBilly Cobhamが参加しており、精神的な詠唱が続く「The Life Divine」の中で巻き起こる高速のビートの洪水はすさまじいの一言。さらにオルガンのLarry Youngがセッションにもたらしたものも大きく、「Let Us Go Into The House Of The Lord」では各々の超絶技巧の応酬を宇宙的なサウンドで包み込み、演奏を主役の2人と共にぐいぐいとけん引していく。
 ジャズとロックのどちらの棚にこのレコードをしまうかで迷うリスナーは多い。だが本作で確かなのは、セッションに参加したすべてのミュージシャンが、ある一点の高みを目指し混然となって上り詰めていくスピリチュアル・ミュージックとしての一体感だ。この素晴らしいカオスの前では音楽のジャンルや信心の有無などは些細な問題にすぎない。