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U.K. – U.K. (1978)

 皮肉なことだが、あまりにもスタープレイヤーが集まりすぎたグループが登場すると、多くのリスナーはまず身構えてしまいがちだ。パンク・ロックの隆盛によって、下火になりかけていたプログレッシブロック・ムーブメントの救世主として生まれたU.K.だが、Allan Holdsworth、Bill Bruford、Eddie Jobson、John Wettonによる4人の輝かしいメンバーは音楽的に完璧な共存を見せていた。少なくとも本作でデビューした瞬間までは。
 Bruford在籍時の緊迫感に満ちたリズムセクションと、フュージョン・テイストにあふれたHoldsworthのギターによって、非常にタイトなジャズロックを展開している。3部構成となった変拍子の組曲「In The Dead Of Night」の終盤におけるJobsonのめまぐるしいオルガンや、急激な転調を見せる「Thirty Years」でのBrufordのドラムの存在感は言うまでもない。「Time To Kill」は後のAsiaにも通ずるポップかつコンパクトなまとまりのナンバーだ。
 生まれた瞬間から音楽的な関係以上に緊迫し続けていたバンドの人間関係は、短期間であっけなく分裂した。U.K.で挑戦した「プログレのスーパーグループ」というコンセプトを引き継いだのはWettonである。彼はギタリストSteve Howeらと共にAsiaを結成し、プログレでありながらも80年代的なポップス精神にあふれたサウンドで、多くのアーティストをけん引していくことになる。