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John Lee Hooker – The Country Blues Of (1959)

 ミシシッピ州クラークスデイルに生まれたJohn Lee Hookerは、1940年代デトロイトのブルース・シーンにおける、エレキギターの独特な弾き語りのスタイルでまず注目された。以降はロックやファンクといった多様なジャンルを取り入れて、音楽的趣向をどんどんモダンなものにアップデートしていった。しかし、リヴァーサイド・レーベルから発表されたHookerの諸作のなかでも、特に本作は当時のフォーク・ブルースのブームに沸くリスナーに応えるような内容に仕上がっている。おなじみであるストンプのビートはなりをひそめ、アコギの音色だけで繰り広げられるアーシーなブルースは、まるで故郷クラークスデイルに舞い戻ったようだ。普段の彼とは一味異なる魅力を放っている。
 Hookerの低くささやくような歌には無二の個性がある。Jack ElliottやAlexis Kornerもカバーしたスタンダードの「How Long Blues」、語りで展開していく「Tupelo Blues」などでそれは顕著に表れている。「She's Long, She's Tall, She Weeps Like A Willow」はお得意のブギで、アップ・テンポな「Bundle Up And Go」は、彼のファンならば後の名曲「Bottle Up And Go」を思わずにいられない。本作のシンプルな演奏形式は、「I'm Prison Bound」ではHookerのブルースの持つ暗い一面をより増幅し、「Pea-Vine Special」のようなトレイン・ソングには一層のリアルさをもたらしている。
 『The Country Blues Of』におけるフォーキーな作風は、リヴァーサイドの好みによく合っていた。64年に同レーベルから出た『Burning Hell』もよく似たコンセプトの名盤で、こちらはよりスタンダードな選曲を楽しめる。本作と合わせて楽しみたい一枚だ。