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McKenna Mendelson Mainline – McKenna Mendelson Blues (1969)

 1968年、トロントの新聞に載ったメンバー募集の広告で出会ったMike McKennaとJoe Mendelsonはブルースで意気投合し、当時イギリスの流行を意識したような骨太なツイン・ギターのスタイルでデビューした。だが興味深いことに、1stの『Stink』が南部色の強いオリジナル曲で固められていたのに対し、2ndである『McKenna Mendelson Blues』はスタンダードや有名なブルースのイディオムで占められており、洗練もされていない。だがそれもそのはずだ。ふたを開けてみれば、デモとして録音したブルース・セッションがメンバーの同意なしにリリースされたのが本作なのだ。
 3連のリフで切り込む「Drive You」は、Mendelsonのワイルドなギターとボーカルが強く心を惹きつけるのだが、残念なことに尻切れトンボで終わってしまう。ハイテンションな「Toilet Bowl Blues」では喜びに満ちたソロを繰り出し、スロー・ナンバーの「Bad Women Are Killing Me」では良質なブルースには必須の力強いギターとハープの応酬が聴ける。
 Albert Kingのカバー2曲は期待を裏切らない出来だが、B面の白眉は10分以上にわたる「Help Me」だ。バンドはここぞとばかりにファンキーなブギを、Canned Heatにも迫る勢いで炸裂させている。
 『McKenna Mendelson Blues』は世に出る予定の無かったMainlineの本当の処女作だ。全体にみなぎるこのラフな雰囲気は、スワンプの香りが漂う彼らの他の諸作にはない魅力といえる。