見出し画像

Geraldo Pino & The Heartbeats – Afro Soco Soul Live (1972)

 60年代以降のアフリカン・ミュージックは、ジャズをはじめとしたアメリカの黒人音楽が逆輸入されることによって、ドロついたグルーブの深化により拍車がかかっていった。中でもJames Brownをはじめとしたファンクの要素をいち早く取り入れた功労者がGeraldo Pinoだ。
 自身のバンドであるThe Heartbeatsを従えたライブはJames Brown、Billy Wootenなど、あらゆるブラック・ミュージックの古典を彷彿とさせる重量級のグルーヴの宝庫だ。Pinoが観客に向かってコールを投げかける「Blackman Was Born To Be Free」はアメリカのファンクに触発された、あらゆる同胞へ向けたメッセージソングである。ファンクの影響を受けているとはいえ、B-3オルガンのサウンドは十二分にアフリカナイズされており、独特のパーカッションがそれに強く拍車をかけている。
 アメリカでは公民権運動を追い風にしていた力強いファンク・サウンドは、同様に自由を求めたアフリカの情勢と共鳴し、かの地ナイジェリアでも本作のようにメッセージ性を帯びた作品が生まれていく。70年代の西アフリカで生まれていた究極のアフロファンクは、現地ではFela Kutiを凌ぐほどのカリスマ的人気を博したが、世界中のリスナーに認知されるようになったのはごく最近の出来事だ。