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Help Yourself – Help Yourself (1971)

 イギリスのパブ・ロックを代表するバンドであるHelp Yourselfは、Sam Apple PieやManでの活動で知られるMalcolm Morleyを中心に結成されている。もともとはシンガーソングライターであるErnie Grahamのソロアルバムのバックバンドとして集まった彼らだが、後にGraham自身がHelp Yourselfに参加する形で発展を続けた。
 全体としてはブリティッシュ・スワンプらしい泥臭さと、サンフランシスコ系統のサイケデリックの香りを程よくブレンドしたようなサウンドだが、「Paper Leaves」でのNeil Young然としたボーカルや「Running Down Deep」のファンキーなグルーヴなど、本作を構成する音楽要素は聴けば聴くほどに溢れてくる。冒頭を飾った「I Must See Jesus For Myself」のようなロックンロール・チューンまで登場するが、アルバムの統一感を失っていないのは驚くべきことである。
 他のアーティストの名を出して比較するのは簡単なことだが、そうはいかない場面もある。Morleyのピアノが印象的な「Street Songs」の美しさには思わず息をのんでしまうし、「Old Man」の暗く沈み込むような独特の雰囲気を醸し出す曲は彼らのオリジナリティの表れである。これらはまさしく様々なジャンルのごった煮の中で生まれる妙味と言うべきだろう。