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John Mayall – Blues From Laurel Canyon (1969)

 『Blues From Laurel Canyon』は、John Mayallが1968年の夏に滞在したカリフォルニア州の印象をブルースで描いたアルバムだが、サウンドそのものは実にシンプルかつ野心的な内容でもある。飛行機のSEから始まる「Vacation」で聴かせるMick Taylorの気骨のあるギター・ソロは、それまでのThe Bluesbreakersにまとわりついていた古いイメージを振り払うには十分なエネルギーがある。
 Mayallは当時の西海岸に蔓延していたアシッド・ロックに安易に走るようなマネはせずに、オールド・スクールなピアノの「Laurel Canyon Home」や、モダンなシカゴ・スタイルの「Somebody's Acting Like A Child」を実践している。「2401」はFrank Zappaのファミリーとの交流が描かれ、骨太なブギーを導入にした「The Bear」では、愛すべきCanned Heatの面々と過ごした日々を追想している。TaylorはまるでAl Wilsonが乗り移ったかのような鋭いトーンでアピールし、Colin Allenは「Fly Tomorrow」の一部でこそエキゾチックなタブラを披露しているが、アルバムの多くは彼のタイトなドラムで引き締まったセッションになっている。
 本場の空気に程よく中てられたMayallはここから、フィルモア録音の『The Turning Point』や米英混合メンバーによる『USA Union』など、アメリカに軸足を置いた活動をしばらく続けていくことになる。