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John Paul Hammond – Footwork (1978)

 John Hammondはいつの時代も、ソロ・アコースティックでブルースを歌うのを信条とし、アトランティック・レーベルに残してきたようなエレクトリック・スタイルなどは二次的な印象を持たれることが多い。しかし、意外なことにHammond自身は、アトランティック時代のLP『I Can Tell』に収録された「I'm In The Mood」や、本作に収録されたピアノ・デュエット「Forty Four Rifle Blues」などを往年のベスト・ワークに選んでいる。
 レパートリーが全てスタンダードで固められた『Footwork』は、名門ヴァンガードにおけるHammondのキャリアと、70年代フォーク・ブルースの最高到達点を示すアルバムといっても過言ではない。中でもRobert Johnsonの3つのクラシックは特筆すべき出来で、「Preaching Blues」では正確無比なギターの技巧が、「Crossroad Blues」では絞り出すような歌唱とハープが、それぞれ聴く者を圧倒する。さらに、これらと対比を成すラストの「Come On In My Kitchen」には、極限までそぎ落とされた演奏の中に熱いソウルと異様なまでのすごみがある。
 「Go No Further」はかつてLittle Walterが「It's Too Late Brother」のタイトルで録音したシカゴ・ブルースだが、たった一人で演奏しているにも拘らず原曲の賑やかさが失われていないのは流石の一言だ。先述の「Forty Four Rifle Blues」は、「Driving Wheel」とともに、オリジネイターでもあるRoosevelt Sykesが特別ゲストとして参加している点で、必聴のナンバーである。ここではSykesのピアノの持つ都会的で洒脱なセンスが、アルバム全体へえも言われぬ深みを与えている。